ガラス窓の向うで


朝が


小鳥とダンスしてます


お天気のよい青い空




















脳髄のモ−タ−のなかに


鳴きしきる小鳥たちよ


君らの羽音はしづかに


今朝僕はひとりで歯を磨く



















コップに一っぱいの海がある


娘さんたちが 泳いでゐる


潮風だの 雲だの 扇子


驚くことは止まることである



















忘れていた


いろいろな単語


ホウレン草だのポンポンだの


思い出すと楽しくなる


















庭に干瓢が乾してある


白い蝶が越えて来る


そのかげたちが土にもつれる


うっとりと明るい陽ざしに





















高い籬に沿って


夢を運んで行く


白い蝶よ


少女のように



















胸にゐる


擽ったい僕のこほろぎよ


冬が来たのに まだ


おまへは翅を震はす





















長いまつげのかげ


をんなは泣いてゐた


影法師のやうな


汽笛は とほく

















昔の夢と思ひ出を


頭のなかの


青いランプが照らしてゐる


ひとりぼつちの夜更け






























ゆくての道


ぱらぱらとなり


月 しののめに


青いばかり




















月夜のかげは大きい


僕の尖つた肩の辺に


まつばぼたんが


くらく咲いている





















小さな穴のめぐりを


蟻は 今日の営み


籬を越えて 雀が


揚羽蝶がやつて来る




















                                        注・・・籬(まがき)−−竹や柴などで目を粗く編んだ垣根