夏・illusion





無意識に何気なく足を踏み入れた世界

気がつくと・・・

まわりはすっかり緑・緑・

緑の木々の包囲網



ざわざわと風にあおられながら

緑の炎が燃え上がる



目が覚めるような緑

<緑は覚醒の色!>



( 今までの私は眠っていたのだろうか )



迫りくる緑

緑の迫力



( いったい 私はここに迷い込んだのか

それとも これまでの日常が ひとつの「 迷い 」だったのか )



目を閉じれば見えてくる

夏の草原

幻想の夏



耳の奥には 蝉時雨

遠く かすかな 風鈴の音 ひとつ



一陣の風に驚いて目を開ければ

 光の洪水

燃えたぎる青空



空は生命(いのち)の素を惜しみなく森に与え

森はみなぎる生気を空に返す



その呼応

その交響



緑と青の光の詠唱が 高らかに鳴り渡るなか

「 生きる 」 というのはこういうことだと

きわめて濃密な生の現場を そのいまを

見せつけられているような気がした