向 い 風 nonya 真正面から 強い風を受けながら ひたすら前へ 歩き続ける 時間をかけて 丁寧になでつけた 直毛ぎみの前髪は 軽くもてあそばれて 体に張りついた 下ろしたてのシャツは ただの布切れとなって 乱暴にはためいて モザイクのように 貼り付けられた 日常のカサブタが 次々と剥ぎ取られていく 思いもよらない 不様な前傾姿勢で 風と格闘することを 強いられているうちに すっかり 身包みを剥がされた心は しかめっ面をしながら なぜか微笑んでいる 空は 青い 雲ひとつなく あんなに 青い |
2000.11.3
作者のHP http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
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