鎖 望 動けない 鎖で縛られた両腕から少しずつ赤い血が流れ始める 鉄のベッドのパイプに繋がれた鎖は自分の心のように絡まっている 何日立ったのかも分からない 窓もない暗い部屋に1人きり 今は 1人きり 日が当たらない部屋はひんやりと冷たい 体をできるだけ起こして服を探す ボタンがとれたシャツを口でくわえて裸の体にかぶせた この鎖はいつになったら取れるんだろう 自分でとらなきゃならないのかな アイツがとってくれるんだろうか アイツはとってはくれないな・・・ あの日夜の繁華街をブラブラしていた俺を 無理矢理ここへ連れてきたあの男 俺を鎖でつないだあの男 もうどこへも行けないように できるなら戻りたい・・・ ずっと行かなかった学校も ろくに話もしなかった友達のところへ 重いドアが開いた アイツだ せっかくかぶったこのシャツも またとられてしまうな そうして また とれない鎖は弱い振動とともに赤色の模様を付けていく |
2000.10.5
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