2000.8.27

栗駒山登頂(秋田・岩手・宮城 三県の県境に位置する標高1627.7mの山)

 頂(いただき)にて
                             yk
 
 
山頂の風をさえぎるものなど
何もないのだった
 
それは豊かで とめどなく
何か巨大な生きもののように奔放だった
そんな中 ふと 
見渡す限りの 風の大河を幻視する
 
眼下に広がる 青い霞の海
きっと僕らは あのあたりに住んでいる
 
汗や 涙や
やるせないぼやきや溜め息などが
霞の中にも混じっているような気にもなる
 
でも だからこそ ここはちょっと威張ってもいいのかもしれない
僕らは今 一応 そこを抜けて来て ここにいるのだ
 
梅干し入りのおにぎりは本当においしかった
どこに食べたかわからないほどに
なんらの屈託もなく ただ ス−ッと腹の中に消えた
 
凍らせて持ってきたペットボトルの水は意外に融けにくく
標高1628メ−トルの陽光に
その氷塊は からかうような煌めきを見せるばかり
 
その雫を惜しみながら飲み込む
 

   *  *  *  *  *  
 

帰りの道は一層明るかった

何か一仕事終えた後のような開放感を背中に          
僕らはズンズンと
長い坂道を快活に語らいながら降りて行った
 
 




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