私たちの心

その自在さは とてつもないもの



東奔西走などは朝飯前



 いきなり

 空の高みに飛翔したり

 ゆるやかに

 グラン・ブル−を降りていったり



 宇宙そのものになったかと思うと

 いりくんだ原子核のジャングルに潜入したり



 ほんとにあきれんばかりの無制限さ



 気まぐれに

太陽の最期を心配したり

自分のことのように

  最初の生物の孤独を思ったり



 脳の蜘蛛の巣城をさまようことも

 一枚の葉に見入ることも

その日のうちの出来事



 亡くなった人を蘇らせたりすることもあれば

 赤ん坊のようにまどろんでみたりもする



 こんな多様なモ−ドがいったいどこに仕組まれているというのだろう?



 ときに

 海のように豊饒になってみたり

 そしてまた

 枯れ木のように佇んでみたり



 まるで超々魔術師



炭火のような赤熱

氷のようなフリ−ズ



 ある日は

台風のように猛り狂ったり

 次の日には

 湖面のように静まりかえったり



  ブリザ−ドになったり

 春風になったり



 変幻自在

融通無碍



 そのスピ−ドは追跡不能



 電光石火の100万倍



 私たちの心

 その自在さは 実に実にとてつもないもの