空が 凝視(み)てゐる 空が 凝視(み)てゐる ああ おほぞらが わたしを みつめてゐる おそろしく むねおどるかなしい 瞳 ひとみ! ひとみ! ひろやかな ひとみ、ふかぶかと かぎりない ひとみのうなばら ああ、その つよさ |
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葉 葉よ、 しんしん と 冬日がむしばんでゆく、 おまへも 葉と 現ずるまでは いらいらと さぶしかつたらうな 葉よ、 葉と 現じたる この日 おまへの 崇厳 でも、葉よ いままでは さぶしかつたらうな |
空を 指(さ)す 梢(こずゑ) そらを 指す 木は かなし そが ほそき こずゑの 傷(いた)さ |
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雲 くものある日 くもは かなしい くものない日 そらは さびしい |
貫(つら)ぬく 光 はじめに ひかりがありました ひかりは 哀しかつたのです ひかりは ありと あらゆるものを つらぬいて ながれました あらゆるものに 息(いき)を あたへました にんげんのこころも ひかりのなかに うまれました いつまでも いつまでも かなしかれと 祝福(いわわ)れながら |
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白い 雲 秋の いちじるしさは 空の 碧(みどり)を つんざいて 横にながれた白い雲だ なにを かたつてゐるのか それはわからないが、 りんりんと かなしい しづかな雲だ |