初 恋

                   nonya




次々と夜空を焦がす華

色とりどりの歓声

かき氷が溶けるのも忘れ

君は見とれていた



まといつくような闇

点滅する君の横顔

うちわを動かすのも忘れ

僕は盗み見ていた



むせかえるような蚊取線香の靄に

甘い汗の匂いが混ざり合って

君は急に大人びて見えた

僕は幼すぎる言葉を飲み込んだ



闇をゆるがす大音響は

やがて僕の鼓動と共鳴し

息苦しいような感覚だけが

胸の裏側で燃え残る



どこかで

思い出したように

風鈴が鳴った



風は火照った背中を

素早くすり抜けて

薄荷のような痛みを

胸の奥でそよがせた









2000.11.3

作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
  
   Mail      nonya@rock.interq.or.jp



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