初 恋 nonya 次々と夜空を焦がす華 色とりどりの歓声 かき氷が溶けるのも忘れ 君は見とれていた まといつくような闇 点滅する君の横顔 うちわを動かすのも忘れ 僕は盗み見ていた むせかえるような蚊取線香の靄に 甘い汗の匂いが混ざり合って 君は急に大人びて見えた 僕は幼すぎる言葉を飲み込んだ 闇をゆるがす大音響は やがて僕の鼓動と共鳴し 息苦しいような感覚だけが 胸の裏側で燃え残る どこかで 思い出したように 風鈴が鳴った 風は火照った背中を 素早くすり抜けて 薄荷のような痛みを 胸の奥でそよがせた |
2000.11.3
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