学校帰りの河原の道で。

                                とこ。



「中途半端な優しさで 君のこと傷つけたくない」



そう言ってあたしの心に傷をつけたあなたが。

今こうしてあたしの傍にいるのは何故なのだろう。



「妹にしか思えない」



そう言ってあたしの想いを切り捨てたあなたが。

今こうしてあたしの傍にいるのは何故なのだろう。



あなたは。



あなたは。



あなたは。

あたしのこと。



好きでもないくせに。

抱けもしないくせに。



振り返りも

しないくせに。



つかまれたシャツは そのままで。

からめた指先も そのままで。



河風の強さに向かって。

泣きそうな眼で。

いつまでも。

立ち尽くしている。



「今は冬だから

   川の水はきっと冷たいね」



ささやくあたしの科白も耳にはいらない。

あなたの背中に回された

あたしの腕にこもる力にも。



気付かない。



あなたが。

絶対に川の向こう側には行かない理由。

コンタクトをはずしたって

あたしには わかるのに。



あたしが髪を伸ばしていることに。

いつになったら気付いてくれますか?



この冷たい水の中でなら。

あたしのこと 必要としてくれますか?








2000.10.17

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