冬 の 夜 空
          
   
          



久しぶりに夜空を仰いだ



煌々と輝く月と

その月に照らされて 白く浮かび上がる横長の雲と



夜空はいま 巨大な壁画のように

私の眼前に 威風堂々とひろがっている



< 雲は たえまなく 変容し続けている >



月の光を見ているうちに

藍色の闇に溶けいるその精妙さが

私を招く道のように思えてきて



私の心は しらずしらず

時を超えてしまう



< 雲は たえまなく 変容し続けている >



そういえば はるかむかしにも こうして

夜空の月に眺め入ったことがあった



思い起こせば その時は 感情がなにやらもっと湿っていて

センチメンタリズムやノスタルジアやナルシシズムやらが

にぎやかに交錯していたっけ・・・



< 雲は たえまなく 変容し続けている >



あれから20年

私は いったい何をしてきたのだろう?



   さまざまなことがあったはずなのだが

   こうしていると それらのできごとが

   まるでただの多様な天気の移り変わりのように思えてくる



   < 雲は たえまなく 変容し続けている >



   あまりおおげさに ぼやいたり 嘆いたりするのは もうやめよう

   この巨大な壁画の前にあっては

   どんなことも

   所詮 とるにたりない ちっぽけなことに過ぎないのだから・・・