8月・未明から朝までの移ろいの中で
yk
夢と現(うつつ)のすきまから
蝉の大合唱がなだれこむ
未だ薄明の午前4時
カナカナゼミという蝉なのだが
ガチャガチャゼミだと言いたくなる
ヒグラシという別名もある
「日暮らし」とはいうが
夕方よりは朝のほうが目立つ
朝のほうがまわりは静かで
こちらも活動していないせいだろう
「その」をつければ「その日暮らし」
《 やれやれ今日もその日暮らしだ・・・ 》などと
妙なことを寝ぼけた頭がつぶやいたりもする
取り越し苦労と持ち越し苦労の間に挟まれながら
かろうじて今日だけ この一日だけが
少し書き込む自由のある「その日暮らし」
前門の狼 後門の虎
確かな生は現在の 一瞬一瞬の中にしかない
この世の中
いたるところに地獄の入り口が待ち受けているとみえて
悲劇惨劇は後を絶たない
一寸先は闇
このことばが決してオ−バ−ではないことを
交通事故の話などを聞くにつけ
胸騒ぎとともにひしひしと感じる
実はさっきまで変な夢に悩まされていた
異常に空手の強い奴らに取り囲まれて
これはかなわないと絶望しかけたところで目が覚めた
ヒグラシのおかげだった・・・
「 今日
」の前で逡巡する私を後目(しりめ)に
時は淀みなく推移して行く
朝刊が届く
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