草待ち
                仲程





ずいぶん遠くの方で

誰かを思うのが好き






バーゲンプライスのある本屋で

ポエトリー&ハーツ

と書かれたペーパーブックに目をやりながら

これは これは

ずいぶん遠くの誰かが

すぐ側によってきて

助けてくれなければ

とても とても

キャッシャーまでは持って行けない







買いそびれて

帰る家並みのきれいに刈り込まれた芝生は

幼い頃のフェンス沿いの日々を

眩しくも

優しく思い出させて

「日曜の朝」

とか

「日曜の陽射」

なんかの歌詞の意味が

目の前に確かに放り出されていて

自転車をこぎながら

一人で笑ってしまう





芝生の脇のいくつかの

オオバコやタンポポしか数えるものもないのに

ひとこぎ進む度に

君を通り過ぎた気がした








 


site




Home