夕暮れ前
                  なお




 うすぼんやりした群青色の
 視界惑わす景色の中で
 木々が
 細かく震える空気を含んで
 うたっている
 話しかけるような旋律が
 私の体も想いも刺す頃
 群青はさらに深まる
 震える空気は水をも含んで
 旋律は
 私に何を求めるの









2001.2.24








 
鈍 痛
            加藤



あちこち歩き回り
買い物の一日が終わり
ホッとした夕暮れの道
薄暗い影になって
疎らな烏を見送れば
僕等の手には何が残る
サービスカード
ポイントカード
三百円毎に判が一つ
一昨日も今日も明後日も
本日限りの大特価
とっても楽しかった
けれど騙された気持ち
出すものを出し過ぎたので
騙されたと考えるのは辛い
おいてけぼりの猫みたいに
すっからかんの僕等は
喉から手が出ていて
いつも心なしか息苦しい








2001.3.8


作者のHP   http://www.f4.dion.ne.jp/~hermit/
    Mail     katou106@f4.dion.ne.jp






 
 夕焼け
                    nonya



<またしても夕焼けに突き当たる>

昨日塗ったばかりの
金メッキは緋色の光に
溶けて流れ出す

行先の染み込んだ
ちょっと洒落た安全靴は
昼と夜の抱擁を前に立往生する

<いつ出会っても夕焼けは痛い>

心を丸裸にされ
さらに裏返しにされ
忘れかけていた罪を摩り込まれる

振り返ることに
慣れていない首筋を
180度後ろに捩じ曲げられる

<それでも夕焼けを眺めずにはいられない>

遥かな記憶の水平線から
打ち寄せる透過した血潮を
全身に浴びずにはいられない

たとえ

何枚もの角質を着込んだ
ひ弱な自分を曝け出す
苦行を強いられたとしても









2001.3.14



作者のHP http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
Mail     nonya@rock.interq.or.jp
 



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