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何処に
星粒
いつも見る夢の
はじまりか終りか
ついぞわからずじまいの無常
のように
空はほんとうに
ひとの小ささを抱きとめて
冬空の午後にしては
調和のとれた暖かい
すこし春の匂いさえ舞い降りてきそうな
そうした光を投げかけている。
わたしはあるこうとしていた。
いつものように
せわしない足取りで
しかも
手にぶら下げた紙袋のかすれる音に
苛立ちを覚えながら
幾度もわけもなく
貧乏揺すりをしたような、
深く閉ざされた
硝子張りの冬よ
きょうの木立ちは
きょうの空は
忍耐の足りないわたしの弱さに
すこし
柔らかな
温度をあたえてくれた
何処に
行こうとしていたのだろう
わたしの足は
しばし
散策の歩をとめる。
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2001.2.7
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作者のHP http://www.avis.ne.jp/~peanuts/watasinosi.htm
Mail peanuts@avis.ne.jp |
しあわせ
ハル
光が見えたよ
一筋の光が見えた
本当はずっとそこにあったはずの光が
今初めて 心まで届いてきて
優しく私の悲しみを包み込んでくれた
これで笑えるかな
心から笑えるかな
この光に幸せっていう 名前を付けてもいいですか?
光を見せてくれたあなたにも・・・・
一緒に見てくれたあなたにも。
「私の幸せ」という名前を付けたい
見せたかったんだ
この光を
君の心にまで届く この一筋の光を
君に見せたかったんだ
一緒に見たかったんだ
心まで届いて
君の悲しみまでも包み込んでくれるような
強くない 一筋の光で
君が笑えますように
幸せになれますように
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2001.2.8
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作者へのMail ebi002@ains.tomakomai.or.jp |
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日曜の夕暮れ(2)
くた
夕映えに
私の涙もろくなった理由を教えて
たま
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2001.2.8
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作者のHP http://laguz.gaiax.com/home/kuta
Mail kutaoff@hotmail.com
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焦がれ色
加藤
あれは始まりの色 あれは最果ての色 あれは新しく生まれ出る息 あれは目を閉じる瞬間の 朧な恐怖の慰み 人は震えている 天を突くネオンの色 パーティータイム しこたま酒を食らったり 肌に鼻面を埋めたりして この世ならざるものを あてがう場所を探している 軽い目眩の度 あちらの夢からこちらの幻 すれ違い続け幾年月 再びこの場所で 自分はどこのだれか 歴史のどの辺りかと思う そうして救われもするが そうして足をすくわれもする ブラインドの隙間から 彼方の空に思う あれは始まりの色
最果ての色
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2001.2.8
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作者のHP http://www.f4.dion.ne.jp/~hermit/
Mail katou106@f4.dion.ne.jp |
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冬の黄昏
織部夕紀
オレンジの光が
不協和音を奏で始める 冬の黄昏には 魔物が棲んでいる 地の底で 無数の足音が聞こえる
恐れて 振り返ることもできず たたずんでいる私の耳元を 黒い影がすばやく通り過ぎて行く
焦りを誰に伝えることもできず 悪戯に時が過ぎ去る
影ばかりでできた冬の並木道 夏には あふれる緑のなか 満ち足りた気持ちで歩いていたけれど
自らの影を確かめながら歩く 黄昏の道 夜にほほえむ魔物たちに
心が奪われないように
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2001.2.9
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作者のHP http://www.asahi-net.or.jp/~nk3y-tnb/
Mail yukit@n.email.ne.jp |
空模様
なお
気象台が午後六時に発表した
週間天気予報をお伝えします
−受話器を見つめて想いをこめる
向こう一週間は
前半移動性高気圧におおわれておおむね晴れ
−よかった、よかったよ
本当だよ、聞こえてるかい
その後気圧の谷の影響で天気は崩れるでしょう
−もちろんそうだよ
全然、気にしないよ
続いて毎日の天気予報です
−君にあえるか10%
走って走って30%
二度も三度も呼んで叫んで
今日こそ越えてしまいたいのに
この期間の気温平均値は・・・
−つらくはないよ
平気でもないよ
それなりに思っているところ
またこの期間の降水量は平年並です
−くりかえす空の営み
僕もまた空を仰ぐんだ
薄雲の向こうの、嵐の向こうの
日照りの向こうの、吹雪の向こうの
夕焼けの向こうの・・・
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2001.2.17
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