ある真冬の情景       
                        
 
                       

山並みの稜線は 遠く幽かに

見渡す限り 幾重にも連なって

  空に向かって繊細なシンフォニ−を響かせる



どういうわけか きょうは

 浮いた雲さえ まったく動かず

山の一本杉も眠ったまま



 時は午後

  季節も真冬の行き止まりのこととて

風の時計もいつしか消えた



 空は明鏡の湖面のように澄み切って

  その青みの奥の奥

   永遠への遊歩道が見えてくる