秋の終焉
            
 




草も枯れて 木の葉も落ちて

オレンジ色の柿の実だけが

妙に明るく陽に照らされている



 
秋の終焉の

その

極みの中の明るさ
 


その明るさに励まされたのか

白い穂の群れも笑っているように見える



 
枯れた草原(くさはら)の色合いも

暖色といえば暖色で

やすらぎや和みに満ちてもいる
 


そういえば きょうは

ばかに川の流れもはしゃいでいて・・・
 


しかし考えてみると それは

昨日までの 冷えきった長雨のせいなのだった
 


< 郷愁の「 愁 」は「 秋の心 」 >



 
ここは まぎれもなく郷(きょう)であり

季節も秋の終着点であるだけに

「 郷愁を感じる 」というよりも

むしろ郷愁そのもののなかに

すっぽりとはまりこんでしまったかのようで・・・
 


こうした秋の終わりの午後などは

時に永遠が止まって見えたりもする
 


< 郷愁の「 愁 」は「 秋の心 」 >
 


秋の心は いま 眼前の景色の中に

まざまざと弔われようとしている