秋 晴 れ
                 nonya




胸のいちばん奥に

隠し持った優しさと

同じ色をしている空



描きかけた風の行方を

そのまま空に残して

居眠りをしている雲



澄みきった葉擦れの囁きに

柿の実は頬を染めて

うっとりと枝にもたれかかる



古い日記の一頁で折った

紙飛行機が金木犀の香りにのって

心のきざはしに不時着する



新しい靴紐を不器用に

浮かれ気分に通しながら

あてどなく問いかける



今日はどこへ行こうか



光を頬張り過ぎた空は

何も答えずに

満面の笑みを

地上にふりまくだけ







2000.10.12

作者のHP  http://www.interq.or.jp/rock/nonya/
     Mail      nonya@rock.interq.or.jp


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