第13回 : Webで情報検索C ああ、 <参考文献>…(1999年6月24日)

今回は、ホームページの紹介はお休み。代りに、私がどういう時に海外の図書館のホームページを使うのかをお話しましょう。

図書館のレファレンスという仕事は、利用者の皆さんから「この文献はどの図書館にあるか?」とか「この雑誌論文をコピー依頼して欲しい」という話がきます。こういう時に、できるだけ文献のデータについて正確かどうかのウラをとるのですよ。「そんな」と思う人もいるでしょうが、書き写しのミスをみつけたり、ひどい時には利用者の方が見てきた<参考文献>に不適切な書き方がしてあったり誤りがあったりするので…。この作業を省くと、依頼した館から「ありません」「データが不完全でわかりません」といった結果が返ってきかねないのです。

最近、こんなことがありました。ある専門書の<参考文献>に
A.N.Skrjabin / L.Danilewitsch
Leipzig, 1954
とあったそうです。もちろん、NACSIS-Webcatを最初に見て所蔵館がないか探します。残念ながらダメでした。欧文の文献で、このように出版年代が古い(実際には19世紀やそれ以前の文献を探すこともあるのです)ものは、国内で見つからないケースがどうしても多くなります。海外の図書館につなぐのはこういう時です。念を入れて3つの図書館の蔵書検索を試みました。いずれも、次のような結果を表示してきたのです。
Alexander Nikolajewitsch Skrjabin / L.Danilewitsch
Leipzig : Breitkopf & Hartel, 1954 - 108S.

<参考文献>の書き方が不充分だった思われる例でした。「A.N.Skrjabin」と「Alexander Nikolajewitsch Skrjabin」では別の図書だと思われても仕方ありません。前回書いたように、日本の音楽図書館でWeb上にOPACを公開している館は、ほとんどない状態ですから、海外の図書館で確認したデータを基にして書類を作りファックスを送って調べてもらうのです。図書館で目録を作る時は約束事がありますから「Alexander Nikolajewitsch Skrjabin」で書類を作りました。

インターネットのおかげで国内のみならず海外の図書館といえども、簡単にアクセスできるようになりましたから、確認作業はずいぶん楽になりました。
前回、前々回の記事の中で外国の図書館のリンクが張られていると書きました。次回以降、海外の図書館が作っている3件のホームページを紹介していく予定にしています。数は少ないのですが、私が自分流に使っている範囲で書かせてもらうつもりです。


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