|
| |
| P52 | ディープ・ブルーがたとえカスパロフを毎回負かしたとしても、 所詮中身はからっぽだ。 | Deep Blue: IBMのチェス対戦用のコンピュータ、 Kasparov: チェスの世界チャンピオン |
| 1 | 問題を解いたり、子供を楽しませたり、膨大な電子メールを送ったりする のに、コンピュータが最適であることはわかっている。チェスにおいても その能力に磨きがかけられていた。先週のディープ・ブルーとカスパロフ との第2試合が終わる頃には、ディープ・ブルーは今までで最高のチェス コンピュータであることは明らかだった。土曜日の試合で、対戦成績は 1勝1敗3引き分け。今回コンピュータが勝たなくても、いずれは勝利す る日がくることは意見の一致するところだ。 | first-rate :一流の、 equation :方程式、 chores: 家事,毎日の仕事、 brush up :みがきをかける、 end in a draw :(勝負が)預かりになる,引き分けになる、 apiece: ひとりにつき、 be likely to do :〜しそうである |
| 2 | コンピュータが世界チャンピオンに勝つのがいつになるかを、なぜ悩むのか? もう貴方は負けるのだけど。だがその悩み自体が重要なのだ。人は、考えずに チェスはできないし、最高の知性を発揮しなければ、例え1試合でも 世界チャンピオンに勝つことはできない。じゃあ、ディープ・ブルーは 思考コンピュータだろうか?心を持っているのだろうか?すると、 人類は「思考物の一形態」と定義されるのか。 | bother :思い悩む、 vanquish: 勝つ、 suggestive: 思わせぶりな,示唆的な、 bring to bear :発揮する、 at that :おまけに,しかも、 henceforth: これからは、 homo sapiens :人類,ホモサピエンス |
| 3 | いや、ディープ・ブルーは単なる機械だ。植木鉢同様心を持っては いない。その意味するところは、人類が素晴らしい機械製造者である ということ。機械製造者が優れていれば、心の活動のほとんどは 機械にもできる。ディープ・ブルーは、人間の思考についての2世代前 の教訓を思い起こさせる。私たちは心を使わずに計算はできない。 だが、計算機が計算をするからといって、それが心を持っていると 考えてはならない。わかるのは計算は心無しでもできるということ。 | flowerpot: 植木ばち、 achievement :偉業,功績、 milestone: 画期的事件、 underscore: を強調する、 calculator: 計算機、 arithmetic :算数,計算 |
| 4 | 無論、チェスで勝つことは計算よりはるかに難しい。だがディープ・ブルーが 心を持っていると考えるのはばかげている。欲望も恐怖も何もない物体が どうして心を持てようか?それがチェスに勝ったとしても勝ちたいからではない。 カスパロフに勝てばディープ・ピンクを町に連れ出すだろうか?それは 他の機械と同様の理由でチェスをする。つまり、そのために作られたとい うこと。 | winning: 勝利、 absurd :ばかげた、 apres: 〜の後に、 toaster: トースター |
| 5 | コンピュータがどれほど素晴らしくても心を持つことはない。中身は何もない のだから。哲学者ポール・ジフに言わせれば、コンピュータに制御された ロボットは心を持てない、「なぜなら、ロボットをプログラムして、好きな ように行動させることができるから。ロボットは自分が何を言ったか考える ことができないから。」どんなに素晴らしいことをやっても、それだけだ。 | no matter what :いかに〜しても、 feat: 偉業、 philosopher :哲学者、 lay out :陳列する、 phonograph: 蓄音機、 period :終わり,以上、 sophisticated :高機能の,高度の,複雑な |
| 6 | 結論を急ぐな、という人もいるだろう。人間の脳も機械だ。その脳を単なる 機械だと言わないのなら、どうしてディープ・ブルーを単なる機械だと 言えるのか? | dismiss :簡単に片付ける |
| 7 | それは人間の脳はコンピュータが決してできないことができるから。 コンピュータと違って脳は複製できない。そのため、人間の脳は、機械で あっても「私」を創造できるのだ。脳は精神世界をして自己を創ることが できるが、コンピュータにはそれができない。 | intrinsic: 固有の、 appropriate :流用する、 summon :を招集する,命令する,要求する |
| 8 | だけど、いつの日か、そのような能力を持つ機械ができるのではないかって? 仮にそんなことができたとして、その機械は脳自身の複製だよ。 | replica: 複製 |
| 9 | だからと言って、コンピュータを軽んじてはいけない。ディープ・ブルーの 成功によって、コンピュータ科学がどんな分野であるかを知ることができる。 それは意外に地道に進歩している分野だ。1050年代、チェスはコンピュータ が得意の分野と考えられ、すぐにも世界チャンピオンに勝つだろうと思われ ていた。だが、問題は予想以上に困難で、部外者達は、コンピュータ科学者 は口先だけだと皮肉った。科学者は研究を続け、ディープ・ブルーが誕生。 | sell short :軽視する、 plod: ゆっくり進む,こつこつ取り組む、 headway: 進歩,前進、 imminent: 差し迫った,切迫した、 turn out :判明する、 artificial intelligence :人工知能、 write off :無価値とみなす、 figure :見積もる、 talk a good game :口だけが達者で実行が伴わない、 deliver :業務を遂行する、 dig in one's heels :自己の主張を貫く、 set to work :仕事にかかる、 long-standing :長年にわたる |
| 10 | 特定の限定された問題を解くのに比べて、擬似思考は難しい。最大の 障害は、技術者が人間の思考をよく知らないこと。思考と分析的に 問題を解くこととを混同しがちなのである。窓から外を見ても、夢を 見てても思考はしている。ワーズワースが理解していたように、 思考は一連の記憶であり、その記憶は感情と結びついていることが 多いことを忘れがちなのだ。人工感情なしでは、人工思考も有り得ない。 | simulating thought :擬似思考、 as opposed to :〜とは対照的に、 obstacle :障害、 technologist: 科学技術者、 naivete: 素朴,単純、 confuse A with B :AとBを混同する、 analytical: 分析的な、 overlook :見過ごす、 obsessed: 取りつかれた、 Wordsworth :William Wordsworth (1770-1850)《the Lake District に住み自然を歌った英国の詩人、 Coleridge :Samuel Taylor Coleridge(1772-1834)《英国の詩人・批評家》、 string :一列に並べる、 memories: 回顧録,思い出、 arcane: 神秘な,難解な,秘密の |
| 11 | ディープ・ブルーでの重要な技術は「並列計算。」難解な問題を 素早く解くために、多くのコンピュータを同時に使うもの。ディープ・ ブルーはコンピュータの集合体なのだ。32個のコンピュータからなり、 それぞれがさらに8個のプロセッサーを持つ。並列計算は、やってみれば 簡単なことだった。 | ensemble: 集合、 in retrospect :振り返ってみると、 conceivable: 考えられる、 a piece of cake :たやすいこと,簡単にできること |
| 12 | コンピュータの能力が上がれば、それだけ複雑な行動を模倣できる。 やがてはできないことが無くなるかもしれない。コンピュータは あらゆる点で人間を凌ぐようになるかもしれない。コンピュータが 親友となることも想像できる。 | in the long run :結局は,最後には、 fake :〜のふりをする、 conceivable :考えられる |
| 13 | コンピュータがたっしゃに喋る日がくるだろうが、それでもそれは コンピュータだ。話す事柄をもっていないのである。人間とのギャップが 無くなることは決してない。機械は人生を快適に豊かにし続けるだろう。 そして、人間は相も変わらず自分や他人の事、さらに神について気にかけて いるだろう。その点で、機械は今までも、これからも変わることはない。 | vivid :生き生きとした、 prose: 散文,散文的な文章、 fluent: 雄弁な,文章のうまい、 surrogate: 代理 make a difference :変わる,差異をきたす |
感想などがありましたら、メールを下さいね!!