今週のESSAYは、USA版にのっていたONLY DISCONNECTを既にUPしました。Mar.3 のUSA版は過激な皮肉屋、Barbara Ehrenreich女史が書いていますし、これは 読んで面白かったのでこちらを書こうかとも思いましたが、Feb.24のASIA版も 書いておきます。Barbara Ehrenreich女史のが、アジア版にも載っていること を祈っております。(残念ながらWebには載っていません)
語彙は主にFENG5辞書から抜粋
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| P60 | 熟練した外交官は不必要な摩擦は起こさない | ultimate: 究極の、 protocol: 外交儀礼,プロトコール、 seasoned:熟練した,老練な、 diplomat: 外交官 |
| 1 | ビル・クリントンが今年か来年長い間の懸案だった中国訪問を実現したとき、 中国側が21発の礼砲と国旗掲揚、国主催の晩餐会で歓迎することは確実だが、 これらのことはアメリカが1995年の江沢民に与えなかったものである。中国側 は意地になってクリントンの顔を立てようとするだろうが、彼らはそれによっ て95年に失った面子を取り戻したいのである。あのときクリントンは、江沢民 をホワイトハウスではなく、ニューヨークのリンカーンセンターで、国連50周 年の記念の一つとして簡単に歓迎しただけだった。 | await: 待ち受ける、 ceremonial:儀式、 trappings: 装飾、 salute: 敬礼,会釈、 perversely: 意地になって、 regain: 取りもどす、 hole-in-the-corner:(=hole-and-corner) ぱっとしない、つまらない、 on the sidelines:傍観者として |
| 2 | 国際外交の経験を積んできたから、クリントンにとってこうした歓迎は驚くに 値しないだろう。去年の10月、ヨルダンのフセイン国王、イスラエルのネタニ ヤフ首相、パレスチナのアラファト大統領というすべてが一国の指導者クラス を招いた中東会談を開いたとき、彼は部下に難解な礼儀作法の問題に対処させ たはずだから。プロトコルの専門家によれば、どんな小国の王でも大国の最高 行政官よりも地位的には上と言うことになる。これは今日だったら怒りを招く だろう無愛想さをもって、イングランドのエドワード7世が支持した宮廷特権 なのだが、それに対してはエドワードの甥で後にドイツ皇帝になるウィルヘル ムが晩餐会でハワイ王カラカウアの下位になったときの話がある。それによれ ばエドワードは「カラカウアは国王であるか(ただの)黒人niggerであるかのど ちらかである」と言って激しく反論したという事である。人種よりも地位こそ が重要だったのである。 | diplomacy: 外交、 ticklish: くすぐったい、 mind-boggling: 非常に難解な、 etiquette: 礼儀作法、 summit: 首脳会談、 due: 予定の、 pundit: 専門家、 precedence: 先行,優位、席次、序列、 executive: 行政官,重役、 prerogative:特権,特典、 upheld: uphold(支持する)の過去・過去分詞、 blunt: 鈍い,無遠慮な,無愛想な,鈍くする、 raise hackles:怒らせる、 kaiser: カイゼル(皇帝の称号)、 retort: に反論する、 nigger: (軽蔑的)黒人 |
| 3 | クリントンのゲストはかつて板門店で南北朝鮮の代表団が、椅子を高くした り、旗を高く掲げる競争をするようなことをする心配はなかった。しかしなが ら、かつてのロンドンのインド総督府(?India Office)の8角形の謁見の間は役 に立ったかもしれない。それはマハラヤたちの出入りを調整するように作られ ていたのである。このイギリス側の配慮はインドの王たちにさらに序列意識を 植え付けてしまった。レターヘッドにclosed crownを印刷することは禁じられ ていたので(open coronetでなければならなかった)、マハラヤの一人はパリの Georges Cinq ホテルに住居を構え、そのホテルの華やかな王冠のついた便箋 を大量に使用した。別のマハラヤはより多くの礼砲を仲間のマハラヤに与える ために、模型の銀の大砲を備え付けた。 | stool: 丸椅子、 hoist: 旗をあげる、 delegation: 代表団、 octagon: 八角形、 durbar:(インド土候の)宮廷、謁見の間、 regulate: 調整する、 exit: 退場,出口、 maharaja:マハラヤ(インド主要土候国の王)、 coronet: 宝冠、 letterhead:レターヘッド、 install:新しい住居に落ちつく、 writing paper:便箋、 flamboyant: 派手な、 miniature: 模型,小模型,ミニチュア,細密画,小型の、 cannon: 大砲、 emit: 出す,発する、 tinny: ブリキのような音のする,安っぽい、 plop: ボチャン,ドブン |
| 4 | 今日では、こういったことを馬鹿にすることがはやりになっている。しかし勝 利した第2時大戦の同盟国は、この謁見の間の先例に倣った。すなわちチャー チル、ルーズベルト、スターリンが面子を失わないように、3つのドアのある 部屋で会議を開いたのである。アメリカの政治家でも気むずかしい人がいる。 Daniel Patrick Moynihan はニクソン政権の閣僚だったが、大統領の後、キッ シンジャーの前にエアーフォースから降りることを主張した。1970年のヨーロ ッパ訪問の時、彼は「とにかくキッシンジャーはいつも私より先に降りる」と 不平をもらした。もちろんキッシンジャーが破ったのは、ちょっとした礼儀作 法だったのだが。礼儀によれば、彼はMoynihanより先に降りないで、待ってい るべきだったのだ。 | deride: あざわらう,ばかにする、 ally: 同盟国、 precedent: 先例、 setting: セットする、 touchy: 気難しい、 invariably: いつも、 breach: 破る、 courtesy: 礼儀、 decree:定める、 upstage: 人を出し抜く |
| 5 | せいぜいプロトコルとはそれくらいのものに過ぎない。(?) ネルソン・マンデラのよ うな人にとっては、礼儀作法は直感的に備わっている。カルカッタでの州知事公邸での 出来事を思い出す。私はニューデリーでその2日前、同じようなところでマンデラに会っ ていた。彼と州知事が役人や招待客に囲まれて座っている場所に、いつまでも続くカー ペットを踏みしめて、妻を連れていった。マンデラは昔風の華やかな礼儀正しさをもっ て立ち上がった。部下が私達を知事に紹介するよりも先に、「知事閣下よりもご婦人方 のほうを」と彼が言った。知事のNeural Hassanも、洗練された学者なので同意してうな ずいた。彼もまた礼儀正しさこそ、最高のプロトコルであることを理解する教養人なの だ。Hassanの故郷のLucknowでは、2人の男がドアのところでお互いに対してお辞儀をし ながら、「Alp adhere!(お先に)」とつぶやいて永遠にそのまま立っているかもしれな い。福建語のtua, boa suay(年長者への敬意)も、似たような感情を表現するものだ。 | instinctively: 直観的に、 escort: 付き添う、 expanse: (果てしない)〜の広がり、 governor: 知事、 flourish: 華麗な身振り、 twinkle: きらきら輝く、 civilized: 教養の高い、 murmur: つぶやく、 bow: おじぎ、 sentiment: 感情,心情 |
| 6 | 階級性の礼儀正しさは、特にアジア特有というものではないが、アジアにおい てのみ支配の手段になっている。シンガポールの情報相George Yeoは、かつて マスコミ関係者に身分の上下関係を忘れるなと訓戒し、支配者に対等な口をき いてはならないと警告した。中東では、イスラエルのネタニヤフがホワイトハ ウスの会談中アラファトにMr. Chairmanとよびかけたとき、別な種類の不等さ を強調した。アラファトは長年PLOの議長であるが、現在では又パレスチナ自 治領の選出された大統領でもある。彼は領土を冠した(しかも独立国的意味あ いを含んだ領土の)、大統領という名前で呼ばれたかったであろう。 | hierarchical: 階級の、 instrument: 手段、 admonish: に警告する,訓戒する、 inequality: 不等、 territorial: 領土の、 sovereign: 主権者、 connotation: 言外の意味 |
| 7 | ネタニヤフのしみったれさ対照的に、後にイングランドの王になるジョージ4 世は寛大であった。彼はスチュアート王朝の最後の後継者を名乗る、ヨーク枢 機卿ヘンリーが、自分のことを辛辣にもただのドイツの小君主と呼びかけたの に対して、「殿下」と言ったのである。ジョージはヨーロッパの最初の紳士と 呼ばれているが、非常に寛大であった。礼儀正しくあるためには自信がなくて はならない。クリントンは北京に飛んだとき、そこには自信があふれすぎてい ることを発見するかもしれない。 | verbal: 言葉の、 stinginess:しみったれ、けち、 generosity: 寛大な行為、 pretender: 要求者、 cardinal: 枢機卿、 pointedly: しんらつに、 princeling:小君主、 magnanimous: 寛大な、 overwhelming: 圧倒的な,不気味な |