THE INAUGURAL BILL

THE INAUGURAL BILL
(解説 YUKI)
(2.3.1997)(Essay from homepage)

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タイトルは「就任式のクリントン」というところでしょう。副題は「大統領にとって冷たい儀式、さめた歓迎、生温い感情」です。クリントンを論じた中で、こんなにも冷ややかなのは初めてのような気がします。こんなにもClintonは、人気がなかったのでしょうか。

作者はROGER OSENBLATT 。

THE INAUGURAL BILL


              語彙は主にFENG5辞書から抜粋

 

大意

語彙


 大統領にとって冷たい儀式、さめた歓迎、生温い感情 inaugural: 就任(式)の、 reception: receiveの名詞形,歓迎会、lukewarm: 生温い,いい加減なy:
1 共和国(アメリカ)が、死の季節である真冬に再生の道を選ぶのは不思議なことである。最初の大統領ジョージ・ワシントンの就任式は1789年4月行なわれたが、それはやがて3月の初めに行われるようになり、F.D.R(ルーズベルト)から、現在まではこの厳しい季節に行われるようになった。何週間も凍てついたダコタからは、このときとばかり氷のような風を東に運んできたが、月曜日までには少しは穏やかになった。政府は結婚式の氷の彫刻のように、溝付き円柱の前で暖をとっている。親族たちはお互いに嫌いあっているのに、当のカップルはすぐにシーツの中であせびっしょりになるという現実を、心から払いのけるかのように、感動するほど馬鹿げた努力をしているのだ。 republic: 共和国、 renew: を新しくする、 burial: 埋葬、 vault: 金庫,丸天井、 for the occasion:臨時に、この時のために、 thaw: 解ける,緊張が緩和する、 bundle UP: 暖かそうにくるまる、 fluted: 縦溝彫りの、溝付きの、 column:円柱、 impressive: 印象的な,感動的な、 preposterous: 非常識な,ばかげた、 mold: 形作る,(に基づいて)作る
2  もちろんすべて公式の儀式というものは、虚偽であり、制度上の継続性を確認するためのものに過ぎない。(「秩序だった権力の移譲」という言葉を使用したテレビ解説者たちは、信じない方がよい) しかしこの就任式は今までのどれよりも虚偽に満ちている。(表面上)進行したことと、実際に進行していたことはちょうど昔の1950年代の生意気な新フロイト派流劇を思い出させる。その中では登場人物達はせりふをしゃべったあと、せりふに隠された本当の考えをしゃべったのだ。 falsity: 虚偽、 freeze-frame : こまどめ、ストップモーション、 institutional: 制度上の、 commentator: 解説者、 inauguration: 就任式,開始,開会,就任(式)、 pretense: 見せかけ,口実、 stark: 硬直した(副詞)全く, sophomoric: 気取っているが未熟な,生意気な
3  これらのすべてはクリントンに責任がある。どんなに努力しても、この大統領を大好きになることはとても難しい。  
4  彼は理解力が驚くほど速い。彼は少人数の人の前では、親切で素直である。彼は馬のようにがむしゃらに働く。彼は必要とあらば泣くこともできる。彼はときどきすばらしい思いつきもする。彼は部下を叱るときはきちんと叱る。彼は堂々とした優雅なしぐさも身につけている。彼は他の誰もうまく仕事をやれないので、あるいはだれもなり手がいなかったので圧倒的多数で選ばれた政府学校の大統領みたいなものである。だから世論は彼のパフォーマンスを認めるのだ。しかし彼ほど人をいらいらさせる大統領も未だかつていなかった。 graceful: 上品な,素直な、 on demand:需要あり次第、 spasm: けいれん,発作、 inspiration: うまい思い付き、 overwhelmLY: 圧倒的に、 poll: 世論調査、 gets under SOMEBODY's skin:人を怒らせる、人の心を強くとらえる
5  ともかく彼はカーターとかブッシュとかのより堅苦しい大統領たちよりも、暖かみを感じさせないし、さらにはジョンソンとかニクソンなどのより攻撃的な大統領と比べてもそうなのである。あのニクソンのためにでさえ運命を共にする人は、クリントンより多かったろう。James Carville 以外に、クリントンにそうしたことをしてくれる人がいるだろうか。 evoke:(記憶など)を呼び起こす、 predecessor: 前任者、 fall on one's sword:自刀する,

James Carville のことはよくは分かりませんが、民主党員のコンサルタント で、以前クリントンの選挙対策の責任者だったようです。しかしなかなか手厳 しいですね。

6  政治ジャーナリストたちはこれから2年以内にクリントンが退陣に追い込まれなかったら発狂するだろう。過去数週間をみても、就任式までのもたつきぶりを見て、Jacob WeisbergとかGarry WillsとかJacob Weisbergは、彼のスキャンダルや個人的不実やいちゃつきに顔をしかめてきた。クリントンがJoe KleinやBill Safire に対して行ったことは、犬に対してもなすべきではないことだ。こうした一級の諜報部員は普通は怒りとか 怖じ気づく対象ではないはずだ。しかしこと「希望の男」に関していえば、そうなるのだろう。 depose: 退陣させる、 limp: びっこを引く(こと)、 scowl: 顔をしかめる、 scandal: スキャンダル,醜聞,恥ずべきこと、 treachery: 裏切り行為,不信,不実、 alleged: 申し立てられた,主張されている、 philander: (女に)言い寄る,いちゃつく、 rage: 激怒,逆上、 funk: 怖じ気、臆病/in a blue funk: ・・・におじけづく、 whoa: どうどうっ,どうどう(馬を止める)

個人的不実がJoe KleinやBill Safireに対する背信行為であることは何となく 分かります。CIA関係者なんでしょうか。どうも解任か何かしたような感じで すが、私はこの事実を全く知りません。いちゃつきがJohnsonのtroopergateを 指していることは明か。最後の文章がちょっと分かりにくいです。the man from Hopeはクリントンでしょう。 whoa, NellieのNellieが誰を指すかです が、辞書には「ばか、女みたいなやつ、ホモ」というのがありますから、これ もクリントンと取りました。

7  就任式の目的はそうした種類の憎しみを覆い隠すことにあるのであり、ワシントンほどそれに適した都市はない。光輝く墓地と同じように、大理石と野心的指導者にあふれたワシントンこそは儀式を執り行うべき場所だ。それはまた大きな石の壁を持つ、理想的な都市のセットでもある。All the President's Menの映画はとても恐ろしいので、壁の向こうに隠れている安っぽさまでは分からない。実際はWatergateの強盗行為と変わりはないのだが。Woodsteinがタイプライターで、(疑惑の事件の原稿を)打たれている瞬間、テレビはニクソンの二期目の宣誓を映し出していたあのすばらしい瞬間のことを考えてみよう。(クリントンの今もまさにぴったしあてはまるじゃないか) animus: 憎しみ,意向、 graveyard: 墓地、 slab: 厚板、 setting: セット,設定、 scary: 恐ろしい,臆病な、 rumminess:不快、下等、安っぽさ burglary: 強盗、 sworn: swearの過去分詞形,誓った、 clack: かたっという音

All the President's MenはAll the King's Menの言い替えでしょう。もと はマザーグースでしたか。映画も何かあったと思いますが、今は確認していま せん。Woodsteinも確認していませんが、Watergate疑惑の報道をなした、NYT かWPかの2人の記者のどちらかでしょう。( )で、私が補った解釈は果たし て正しいのでしょうか。そうだとすると、この作者はクリントンも遠からずニ クソンの轍を踏むと言っているのですか・・・果たして本当でしょうかね。

8  クリントンの気持ちを言えば、いくつかの疑惑事件とMs.Johnsonの事件は影響を与えるかもしれないが、ホワイトハウスを離れるまでには至らないということになるのだろうか。そしてもはやHilaryに対する対する反感も問題ない。2期目の選挙運動のキャンペーンは「ただ一人の大統領候補を」という暗黙の了解があった。1953年アイゼンハワーが就任式に臨んだとき、Robert Lowellは「アメリカが心の中に大きな墓を抱えている」と感じていた。現在人々はクリントンに対してそうした憂鬱な感じは抱いていない。しかしそれよりもさらにとらえにくいもの、尊敬とか愛情とは無縁の、そんなに強くはないが憤りを持っているのだ。 antagonism: 敵意,反対、 bumper: (車)バンパー、 sticker: ステッカー、 inaugurate: を開始する、 brood: 思案する,じっと考え込む、 mausoleum: 大霊廟,壮大な墓、 gloomy: (気象)うっとうしい,憂うつな、 resentment: 憤慨,恨み、 meld: 混合[結合,融合]させる
9  実際尊敬は愛情のひとつの変形なのだ。1790年Edmund Burkeは、フランス革命の時代に、大衆の愛情を尊重しないと言って哲学者の合理主義を批判した。クリントンにとっては、すべてが物の取引みたいである。人民は権力をあきらめるかわりに、サービスを受け取る。大統領は権力を把握し、サービスを供給する。彼が最も本来の自分自身を取り戻しているようなとき、例えば黒人の教会で歌ったり祈ったりしているときでさえ、誰か他人の中に好ましい自分自身を投影しているような、場違いの白人少年にしか見えないのだ。 ardent: 熱心な,熱烈な、 rationalism: 合理主義、 philosophe: 哲学者、 likable: 好ましい

クリントンには指導者の資質がないと言うことでしょうか。しかしそれは日本 でも同じでしょう。世界中で旧来の指導者は消えていっているみたいですね。 この作者クリントンを小学校の級長くらいの感覚でしか見ていないのでしょう か。Edmund Burkeは1729-97のイギリスの保守的政治家・思想家。

10  ある意味で就任式と大統領はお互いを必要としているのだ。両者とも見かけが大事だし、魅力のない現実に疑念を引き起こすきっかけになる。そして両者とも生来の初心者であり、「すべてのものは古く、かつ再生する」というアメリカ式劇場ミュージカルの公式をそのまま体現しているのだ。 stir: 混乱,かき混ぜる、 beginner: 初心者、 embodiment: 化身,具体化、 dictum: 公式,金言
11  自分の無実を強調するために、彼のひどい演説はお馴染みのladder of lettuses「レタスの階段?」を上っていった。「新しいコースを定めよう」「共同体の新しい精神を築こう」「新しい希望の土地を建設しよう」などなど。しかし注意を払っている者はほとんどいなかった。最高裁判事?(Chief Justice )のRehnquistが、クリントンに"Good luck" と言ったとき、ヒッチハイカーを車から降ろして別れるときに言うような響きしか感じられなかったのである。 insistent: しつこい、 dreadful: 恐ろしい、ひどい、 hitchhiker: ヒッチハイクする人

ladder of lettusesはどう言った意味なのでしょうか。中身があまりない、 くらいの想像はつきますけれど。しかしアメリカ人が自国の大統領に対してこ んなによそよそしい態度しか示せないと言うのは、なにか空しいような気がし ます。このESSAYを読んで、Clintonがこんなふうに見られているというのはち ょっと意外でした。反対されたり、批判されるのではなくここまで徹底的に無 視・無関心に囲まれているとは。


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