2003JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第7戦レポート
[CL1クラス]
CL1クラスは、排気量1600cc以下のB車両が参加できるクラスで、ライセンス不要のクラスである。また、タイヤにも制限があり、通称Sタイヤと呼ばれる競技用タイヤの使用が制限され、レギュラータイヤオンリーのクラスとなる。
今回のエントリーはなんと21台。今期最大のエントリーを集めた。シリーズ上位陣では、1位佐藤レビン、2位倉橋シビック、3位西山シティ、4位和田ミラージュ、5位兼平トレノ、6位藤井シビック、らが揃ってエントリーしている。本日の結果次第で佐藤のシリーズチャンプが決まる可能性がある。これを阻止できるか、倉橋、西山にとっては正念場の1戦となるであろう。
まず第一ヒート。ファーストゼッケンからハチロクトレノでエントリーの松本が52"4という好タイムでゴールし、CL1クラスがスタート。これに対し、ゼッケン4番の海江田ミラージュが、52"5と惜しくも松本に届かないが2番手タイムでゴール。直後、ジェニファー軍団辻CR-Xが51"7と松本のタイムを大きく破ってくるが、惜しくもパイロンタッチの判定。しかし、同じくジェニファー軍団の吉良ミラージュが52"2をきっちり叩き出し、トップに躍り出た。終盤ゼッケンに入りトップタイムを大きく動かしてきたのはこのところ快走を見せているバラードCR-Xの野島。AS型CR-Xのポテンシャルを十分に引き出すうまい走りでなんと50"7を叩き出しトップに立った。負けていられないのはシリーズ6位につける藤井シビック。第6戦でうれしい初優勝を遂げた時の好調をそのまま持ち込み、50"6と野島をかわしてトップに立つ。前回お休みとなっていたオーバーフェンダーがかっこいい兼平トレノもここは一発ポイントを稼ぎたいところ。しかし、もう一つリズムに乗り切れないか、速度をうまく維持できず、3番手タイムながら51"8とトップからは水をあけられてしまう。続くのはNEXTラインアウト軍団のウェットマイスターの和田。走りに試行錯誤が見られるようだがうまく攻め切り、51"5と3番手に食い込んだ。そしてシリーズ3位につける西山シティがスタート。見ている方が怖いくらいの外周の攻めを見せてくるが、50"8と藤井、野島に僅かに届かず3番手。続くのは、前回佐藤の居ぬ間に15ポイントを獲得し、今回も佐藤より上でゴールし最終戦に望みを繋ぎたい倉橋シビックだが、うまく速度を乗せて走りきるものの、若干テクニカルでロスがあったか、50"9と4番手でゴール。そして今回の成績次第でチャンプが決まる可能性のあるポイントリーダー佐藤レビンがスタート。うまく速度を乗せ車を前に前に進めながら前半をクリア。見事だったのは終盤に設定されたスラロームセクションだ。一つ目のスラロームにカウンター気味に入ると、徐々にきつくなるスラロームをそのまま振り返しを使いながらクリア。超県戦級と言える目の覚めるようなテクニックを見せつけ、50"4と貫禄のトップタイムを叩き出した。
この結果、第一ヒートトップは、佐藤レビン、以降、藤井シビック、野島CR-X、西山シティ、倉橋シビック、和田ミラージュ、と続いた。
続く第二ヒート。第一ヒートでは7番手相当のタイムを出しながらパイロンタッチに沈んでいた辻CR-Xが、守りに入ることなくきっちり攻め、51"0と6番手タイムをマーク。第一ヒート8番手から9番手に順位を落としている吉良ミラージュは、要所をうまくまとめ、51"5と順位を一つ上げ、8番手に。トップまでコンマ3秒ともう一息の野島CR-Xは、そのタイム差に力が入ったか、僅かにタイムを落としてしまう。同じく、第一ヒート2番手につける藤井も、連勝が頭をちらついたのだろうか、リズムが悪く51"4とタイムダウン。シリーズ5位につける兼平トレノは現在のところ9番手。シリーズ順位を考えてもなんとか入賞圏内には入っておきたいところだが、今回のコースにはどうも攻めあぐねているようだ。自己のタイムを僅かに落としてのゴールとなってしまう。続く和田ミラージュは、第一ヒートの6番手から押し出され7番手に順位を下げている。入賞圏内へ向け、スムースな走りでうまく攻め、自己のタイムを51"3と上げてくるが、順位は変わらず7番手のまま。続く西山シティは現在4番手。激しいアクセルの踏みに加え、うまくラインに乗せるクレバーな走りを見せ、50"5とタイムを上げてくるが、佐藤にはわずか100分の8秒及ばず2番手。そして後がない倉橋シビックだが、残念なことにこの時点で佐藤のシリーズチャンプが確定したようだ。しかし、最後に一矢報いたいところであろう。その思いが堅さとなってしまったのかもしれない。リズムを崩し、パイロンまで触ってしまい、5番手のまま競技を終了した。そして、本人は知っていたかどうか、既にシリーズチャンプと今期3勝目が決まったウィニングラン状態での佐藤レビンがスタート。佐藤にしては僅かに車の動きが止まるような場面もあったが、相変わらずマシンの様に正確な見事なスラロームを見せ、タイムをダウンさせたものの第一ヒートのタイムで優勝を飾った。
この結果、優勝は今期3勝目を挙げたハチロクレビンの佐藤。シリーズチャンプをきっちりと優勝で飾るあたりが強さを感じさせる。昨年まで車が壊れていたそうだが、今年追った神奈川戦CL1クラスでチャンピオンが取れたことを喜んでいた。また、「良い仲間がたくさんできてうれしい」と、シリーズを追う楽しみを満喫できたようである。そして2位には、第二ヒート激しく追い上げたが僅かに届かなかったシティの西山が入り、「高いレベルのCL1クラスの中で戦えて楽しい」とのコメントを残した。来年はNクラスでの参戦を検討しているそうだ。そして3位には前回の優勝から連続のお立ち台となる藤井シビックが入り、「第二ヒートは気合が入りすぎてだめだった」と気合をタイムに結びつける難しさを実感していたようだ。藤井も来年はNクラスでの参戦を検討しているとのこと。そして4位には、3戦連続入賞となるバラードCR-Xの野島が入り、4位には惜しくもシリーズチャンプを逃してしまったシビックの倉橋が、6位には第一ヒートのパイロンタッチから消極的にならず見事タイムを残してきたCR-Xの辻が入った。
これにより、CL1クラスのチャンピオンは毎回見事な走りを見せていたハチロクレビンの佐藤に決まった。今期6戦に参戦し、優勝3回、2位2回、3位1回と、回を追うごとに参加者レベルの上がっているCL1クラスで圧倒的な強さでチャンピオンを獲得した。筆者イチオシのドライバーである。いつかどこかで同じステージで戦えることを楽しみにしたい。
2003JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第7戦
CL1クラス
順位 | ドライバー | 型式 | 1st-try | 2nd-try | best time |
1位 | 佐藤 啓介
| AE86 | ’50”445 | ’50”777 | ’50”445 |
2位 | 西山 隆章
| GA2 | ’50”816 | ’50”520 | ’50”520 |
3位 | 藤井 孝法
| EK9 | ’50”638 | ’51”442 | ’50”638 |
4位 | 野島 詳久
| AS改 | ’50”770 | ’50”919 | ’50”770 |
5位 | 倉橋 倫生
| EG6 | ’50”963 | ’56”617(P1) | ’50”963 |
6位 | 辻 茂
| EF8 | ’56”751(P1) | ’51”025 | ’51”025 |
7位 | 和田 安広
| CJ4A | ’51”534 | ’51”362 | ’51”362 |
8位 | 吉良 仁秀
| CJ4A | ’52”218 | ’51”574 | ’51”574 |
9位 | 兼平 義治
| AE86 | ’51”850 | ’51”979 | ’51”850 |
10位 | 松本 慎
| AE86 | ’52”443 | ’58”107(P1) | ’52”443 |
11位 | 海江田 雄司
| CJ4A | ’52”563 | ’52”718 | ’52”563 |
12位 | 大平 兼司
| AE86 | ’53”736 | ’54”411 | ’53”736 |
13位 | 大塚 清史
| EK9 | ’54”537 | ’54”553 | ’54”537 |
14位 | 横山 和明
| EK9 | ’56”029 | ’55”107 | ’55”107 |
15位 | 寺田 正午
| EK9 | ’55”586 | ’55”404 | ’55”404 |
16位 | 平川 栄司
| EP82 | ’56”653 | ’55”404 | ’55”404 |
17位 | 島村 文好
| NCP13 | ’57”012 | 1’01”179 | ’57”012 |
18位 | 三浦 誠士
| AE86 | 1’08”466(P2) | ’57”947 | ’57”947 |
19位 | 小栗 真弓
| AE86 | ’58”889 | ’59”659 | ’58”889 |
20位 | 岩本 亜彩美
| AE86 | 1’04”653 | 1’00”947(P1) | 1’00”947 |
-- | 坂口 潤
| EF9 | 賞典外 | 賞典外 | 賞典外 |
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撮影:えんどう
(文中敬称略)
えんどう