2002JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第9戦レポート
[さいごに]
年間を通してシリーズ戦として戦うA2,A3,A4各クラスのチャンピオンが決まった。強さと速さをきっちり証明して見せたA2チャンプの野呂選手、調子を上げているライバルからのプレッシャーに打ち勝ちきっちりと自力で優勝を決めたA3チャンプの梅澤選手、車両トラブルが絶えず最終戦でもレンタルマシンと逆境に立たされながらもシリーズを優位に進め念願のチャンプを獲得したA4チャンプの三間選手。まずはおめでとう。そして来年はさらに上の走りを身につけていってほしい。また、最後までチャンプ争いをした各クラスのライバルは、悔しさがこみ上げているころであろう。しかし、正々堂々と戦ったこの1年は必ずドライバーとしての技量をアップさせたはずだ。来年もう一度神奈川の頂点を目指すのも良し、この勢いで関東に上がってしまうのも良いと思う。神奈川出身ドライバーとして活躍を期待したい。
一方、スポットクラスとなったクローズドの6クラスであるが、各クラスなりに激しい戦いが繰り広げられたようだ。初めて公認イベントに参加したもの、日頃の腕を試したかったもの、Aクラスとの差を計ってみたかったもの、思いはそれぞれであったことだろう。また、当初の思いに対し終わってみて、やはり公認イベントは難しいと思ったもの、緊張感を初めて味わいやみつきになりそうなもの、戦える車があれば勝負になると思ったもの、来年は出てみようと思ったもの、などいろいろな感想を持ったことだろう。今回は練習走行1本付きの本番2本走行というスタイルを採用したが、本来ジムカーナとはたった2本で持てる技術の全てを出し切り勝負を潔く決めるスポーツである。練習とは違うこの部分にこそ難しさと楽しさがあるのだ。また、1戦だけでは味わえない、シリーズを追ってこそ感じる満足感や難しさがあり、どんな環境においても年間を通して好成績を残すことも求められるスポーツでもある。筆者個人の考えであるが、イベント参加は練習会参加の10倍楽しい。そして、シリーズを追う事はさらにその10倍楽しいことだと考えている。折角垣間見た公認ジムカーナ。参加すること自体はそう難しいことではないということが分かってもらえたと思う。来年は是非とも年間を通して参戦してみてほしい。
競技の内容的には賛否両論あることだろう。走行終了時刻が遅くなってしまったことは改善の余地がある。また、クローズドクラスドライバーの情報が少なく公認クラスとの温度差があったことも否めない。しかしこれらについては、課題を認識し次回につなげれば良いのだ。幸いにして今の神奈川には主催者とエントラントが意見を交わそうという風潮が起こり始めている。今回のイベントは来年に好結果をもたらしてくれるに違いない。
一方、あれだけの走りがいのあるコース設定は概ね好評だったようだ。多くの車種が参加する県シリーズやクローズドクラスドライーバーにとって、特定車種でなければ勝てないようなコース設定はあまり好まれないようだ。今回のコースは、シティが上位に入ったり、クローズドクラスではセリカやNAのMR2が上位に入るなど、腕があれば勝負できるコース設定であったと、評判が良かった。これが正解ということはないが、大きなヒントになるコース設定であったと感じる。
さらに今回は盛りだくさんの趣向があり、まずテクニカルセクションの区間タイム賞が設定された。450度→90度→180度→270度→90度、というテクニカル区間のタイムを光電管で計測した結果が表彰された。これには抜群のターンを見せたシティの菅野選手が優勝した。また、誰にでもチャンスがある自己タイム予想賞も10位まで表彰され、なんと優勝は自己タイムを1000分の27秒差で当てたCL2クラスの須田選手が入り注目を集めた。
2002JMRC神奈川ジムカーナシリーズ第10戦
自己タイム予想賞
順位 | ドライバー | 型式 | クラス | 予想タイム | 1st-try | 2nd-try | gap |
1位 | 須田弘文
| RPS13 | CL2 | 1'39"000 | 1'39"027 | M.C. | +0"027 |
2位 | 中西康良
| CP9A | A4 | 1'19"000 | 1'21"788 | 1'18"971 | -0"029 |
3位 | 中村健太
| EF8 | A2 | 1'24"000 | 1'23"899 | 1'33"604 | -0"101 |
4位 | 岩田章
| EK4 | A2 | 1'19"990 | 1'20"483 | 1'19"879 | -0"111 |
5位 | 石黒俊美
| DC2 | A3 | 1'16"908 | 1'17"077 | M.C. | +0"169 |
6位 | 馬場靖典
| 車両 | A3 | 1'25"000 | 1'26"060 | 1'25"189 | +0"189 |
7位 | 中川英雄
| EF8 | Z1 | 1'23"000 | 1'22"709 | 1'36"508 | 10"291 |
8位 | 荒井辰夫
| EF8 | A2 | 1'20"500 | 1'20"157 | 1'21"248 | -0"343 |
9位 | 遠藤康浩
| CP9A | A4 | 1'16"999 | 1'16"592 | 1'17"174 | -0"407 |
10位 | 蛯原輝彦
| KK4 | CL1 | 1'29"999 | 1'30"433 | 1'31"930 | +0"434 |
最後になるが、神奈川県シリーズにとって、今年は変革を迎えるためのスタートの年となったとも言える。エントラントが自発的に神奈川県シリーズ復活を夢見て立ち上がり、それに応じるように主催者が反応を始めている。この活動の意義や今後の神奈川の方向性を占う意味で、非常に大きな鍵を握ると注目され、主催者とエントラントが協力し合ってエントリー数獲得に動いたのがこの最終戦である。その努力の結果、131台フルグリッドのエントリーを集め、注目の高さとエントラントの思いが終結したエントリー状況となったといえるだろう。内容的にも多くの試みが盛り込まれ、来年の神奈川シリーズ復活へ向けた多くのヒントを残した意義のあるイベントとなった。これを来年度に生かせるかどうかは、シーズンオフの努力次第といえるだろう。
3ヵ月後には2003年シーズンが新しいレギュレーションの元でスタートする。来年追うシリーズの候補として変わりつつある神奈川シリーズを検討していただければ幸いである。
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