Bright Angel Trail



2001年4月4日
Grand Canyon
Bright Angel Trail

 さて、一日をトレイルに充てるということで、どこに行くか考えました。なにしろ、10種類近いトレイルがグランドキャニオンにはあるとのこと。いずれも峡谷の底を流れるColorado Riverを目指す形のものなのですが、トレイルの整備が不充分で危険なトレイルも多いとのこと。中でも整備されているらしい、Bright Angel Trailを選びました。
 しかし、このトレイル、谷底を目指す訳ですが、どうやら1日の日帰りで谷までに往復は危険極まりなく、絶対やってはいけないとのこと。あまりの過酷さに毎年何人もの人が亡くなっているとか。  なにしろ、片道16km弱、標高差は1300m程らしく、谷底はかなりの気温である上に、帰りが上りということがより過酷なものにしているようだ。

 さすがに案内所でも絶対トライしてはいけないと脅かされるほどなので、その手前のインディアンガーデンか、できればブラトーポイントまで足を伸ばし、往復するコースを予定した。とは言え、前者でも片道7.4km、標高差950m、後者は片道9.8km、標高差950mである。一応フルマラソンとかも経験しているので、自分一人ならそれほど気にならない距離であるが、監督も一緒である。問題は監督の体力であろう。自分の足で距離を進める経験はそれなりにあるので、自分の体力ならある程度計り知れるところだが、人の体力を正確に判断するのは難しい。実はブラトーポイントからはColorado川が見えるらしく、なんとかそこまで行きたいところなのだが、監督の体力を見ながら、インディアンガーデンで引き返す可能性が大きいと心に命じてのスタートであった。

 かなりの距離なので、早めにロッジを出たのはいいが、レストランが予定通り開かず、結局スタートは9時頃となったのでした。途中、水のみ場が1ヶ所あるとの情報だったが、かなりまずいとのこと、二人分の水としては多めの5Lの水と昼食やら一人300円までのお菓子類(バナナはお菓子ではない)と、カメラや換えのレンズ、着替え類やらをリュックに詰め、結構肩にずっしりくる重さを背負ってのスタートとなりました。
 スタートが遅れたので気になったのですが、こういうのはペース配分が重要なので、我々をどんどん抜かしていく人のことは気にせず、非常にゆっくりとしたペースを保って下りました。10分ほど歩くともう風も無く、かなりの温度に。スタート地点はかなり寒く、上下ヤッケという格好でのスタートでしたが、30分も歩いたところで、結局Tシャツに単パンという格好に。途中、リスや鹿などを珍しくも思わないほど頻繁に見かけながら1時間に1度くらいずつ休憩を取り、インディアンガーデンには12時ちょい過ぎに到着。不思議なのは、スタート地点は緑生い茂る森林っぽい雰囲気なのに、この位置まで来ると、Tシャツでも暑いほどの気温とまるで南国の砂漠地帯のような景色に草木や動物が変わるんです。これは夏場はかなりしんどいと思いますね。で、監督の様子を見ながら、まだ大丈夫そう、ということで、最悪おぶってでも戻ることを決意し、ブラトーポイントまで足を伸ばすことに決定。
 そこから多少のアップダウンを繰り返しながら、30分強でブラトーポイントに到着。確かにここはcorolado riverが直下に見え、景色も最高でした。で、ここから見上げるGrand Canyonはすばらしい。ここまで来て、Grand Canyonってすんごくいい、と思ってしまいました。国立公園って歩かないとだめなんですね。上からでは感じられないGrand Canyonの壮大さと、Colorado川の豪快な音を聞きながら、昼食をおいしく頂き、1時半頃いざ帰路へ。

 来る時4時間だったから、帰りは最悪6時間として、ぎりぎり日が沈む頃に戻れるかなぁ、なんて考えながら、心拍数が上がらない、会話ができる範囲のペースを保ってゆっくりと上り始めます。帰り始めた頃は人影も少なく、ちょっと心配ながらも、マイペースで。さすがに監督に疲れが見え始めてきたので、休憩を30分〜50分くらいに1度は取り、なおかつ陸上部流マッサージまで入れながら。
 すると不思議なもので、かなり遅いペースで上っているにもかかわらず、結構な人数を追い抜ていることに気づきます。恐らく、みんな快調に下ったはいいが、その疲れがのぼりで出ているのでしょう。そんな感じで、何時間も1本道を歩いていると、同じような人たちと抜きつ抜かれつを繰り返すことになり、これがまた不思議な連帯感を生むんですよ。お先にぃ、とか、ちょっと休憩だ、とか、いちいち顔を合わせるたびに声を掛け合うので。ゴール付近では、なんかみんな友達だったかのような錯覚に陥るほどでした。いやぁ、ほんと、この連帯感みたいなものトレイルを充実させるものの一つなんでしょうね。ですから、できるだけ、声を掛け合った方が楽しいです。それも、Hi、とかHellow、だけじゃなくて、こっちの挨拶の定番であるHow are you doing?と声を掛けると全く反応が違います。こっちが休んでいてHow are you doing?と声を掛けると立ち止まって話をしていく人がいるほど。そんな会話が疲れを忘れさせる方法の一つでしたね。
 そんなこんなで、マイペースを保ちながら、大きな問題もなく、結局、5時半頃にゴール。なんと帰りも4時間強で戻ってきてしまいました。ちょっとこのペースにはびっくり。ペース配分て大事なんだなぁと思いました。
 大事だと聞いていた水ですが、5L持っていったうち2Lほどあまりましたが、余分に持っていってよかったです。やはり水をたくさん持たずに、というか、予想以上に疲労したため水が大量に必要だったのかもしれませんが、水が無くなって困っている人もいました。皆で水を分け合ってなんとかその人たちもゴールできましたが、水だけはしっかり持たないと、ほんと歩けなくなりますから。それと、給水所での水を飲んでみましたが、うわさほどまずくなかったというか、十分飲めるレベルだと思いましたよ。疲れていればおいしく感じますから心配いらないでしょう。

 さすがに、結構疲れましたが、自分でも誉められるくらいうまくいったペース配分のおかげで、まだまだ歩ける体力は残っていました。監督はやっぱり疲れたみたいですが、これだけの距離と高低差を歩けたことには自信をもっていいと思います。お疲れさまでした。
Grand Canyonの写真はこちら。














































































































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last modified : 30/Sep/01
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