2000年JAF関東ジムカーナ選手権第5戦参戦記

5/21(日)、関越スポーツランド、ドライ

2000年JAF関東ジムカーナ選手権第5戦A4クラス
順位ドライバー型式1st-try2nd-trybest time
1位小峰健志 CP9A1'15"0281'13"7411'13"741
2位斎藤和徳 CP9A1'14"7841'13"8921'13"892
3位宮嶋一人 GC81'15"5491'14"1401'14"140
4位船野剛 CP9A1'15"1891'14"4561'14"456
5位遠藤康浩 CP9A1'16"7891'14"7911'14"791
6位川辺晋吾 CP9A1'15"6481'14"9921'14"992
7位川村光弘 GC81'16"8391'15"2121'15"212
8位阿保大輔 GC81'25"6021'15"2211'15"221
9位大槻正 CP9A1'16"7781'15"8291'15"829
10位井上究 CP9A1'16"9951'16"3801'16"380

1.まえがき

もう、これ以上無いという惨敗、そして攻めきれなかった自分へのやるせない思いで終わった地区戦胎内ラウンドから3週間が経過し、会場を関越スポーツランドに移して第5戦が開催されました。ちくしょぉぉ、練習したいよぉぉぉ、という気持ちと裏腹に、時間が全く作れず、なんとか一週間前に半日だけ練習走行することができました。なんかこんなことを毎回言ってますね、今年は。
しかし、今回はかなりやる気なのです。それはずばり、話題の新型タイヤ投入が決まったから。うふふのふ。そのタイヤはヨコハマアオシバ、じゃない、A048。事前情報によると相当すごいタイヤだとか。
ここのところコンパウンド変更が続いたADVANタイヤですが、予算的な問題から、A038SLコンパウンドは入手できず、胎内ラウンドはA038SSコンパウンドで戦ったのでした。もし今回新型タイヤを投入できないなら、あまりにも自分がかわいそうなことになりそうだったので、参戦は辞めようかとも思いましたが、なんとか間に合い、半日の練習走行で試すことができました。
残念ながら1週間前の練習走行は天候が不順で、40秒程度のハーフウェットコースを3本走ったに過ぎませんでした。タイム計測もなしだったため、良いのか悪いのか分かりませんでしたが、コーナリングセクションの異様なまでのスムースさが印象に残りました。その一方で、ターンに癖がありそうだな、という印象も。結局、フィーリングだけ多少感じ取れた程度で、セッティングも何も分からない状態で本番へのぞむことに。

2.当日

会場付近で前泊せずにイベント参戦するのは久しぶりで、4時に家を出るというのはものすごく辛く感じました。今回はニュータイヤ投入ということですが、残念ながら監督は諸事情により会場入りはなしということに。一人で早起きし、会場へ向かいます。一般道って、結構人のことを煽ってくる車が多いんですよね。いやだなぁと思いながらもかたくなに制限速度を守って会場へ。ゲートオープンと同時に会場入りです。やはり関越でのイベントだけあって、今回のA4クラスは25台程度とまずまず盛況です。
この日は朝から最近発表されたアドバンA048の話題で持ち切りでした。発表前からの噂に加え、私は参加できなかった昨日の練習会では、ウェット路面において文句無しのパフォーマンスを発揮していたための様です。本日は、A3クラスでインテ、SWが各1台ずつ、A4クラスでは私を含めた5台のCP9AがA048を投入してきました。この日のドライ路面ではどうか、多くのドライバーが感心を持っている様でした。
また、ニュータイヤ発表後初の地区戦であるためか、ヨコハマゴムがメインスポンサーとなっている様で、アドバンギャルなども登場し、活気あふれるイベントとなりました。
さて、問題のコースですが、昨年、勉強にと思い参戦した第5戦とは打って変わってコーナリングが多く、最後もなかなかテクニカルな設定がなされております。コースは長く、最後まで集中して走ることも重要でしょう。それにしても、今回投入したA048はコーナリングしやすい印象がありますので、今回のコースには打ってつけかもしれません。私にとって問題は最後のテクニカルセクションでしょう。やや癖がある気がするターンをどれだけこなせるか、が重要です。いずれにしてもデータが無いタイヤですので、他のアドバンユーザーからの情報を頼りに、基本的には今までと変わらない攻め方をしようと思います。
また、セッティングに関してもデータはないので、従来と同じリア固めのショックに前後エアを同圧に設定し、まずはトライです。今後はこのセッティングを基準にいこうと思います。路面温度はかなり上がり、情報によるとほぼ40度くらいとのことでした。
どんなタイムが出るのか、勝負になるのか、はたまた前回の二の舞になるのか、など、全く予想もつきませんが、とにかくタイヤのインフォメーションを気にしてできるだけ頑張ってみようと思います。今回の目標は地区戦最上位、そしてタイヤがうまく使えるならば、あわよくばポイントを狙っていきたいと思います。第一ヒートの結果次第で、どのあたりが狙えるのかが分かるでしょう。
3.第一ヒート
タイヤのグリップ力などが分かりませんが、とりあえず6000rpm程度からスタート。エアが低いせいか、ガツガツした感じが無く、非常にマイルドな立ち上がりを見せます。そこそこのスタートが切れ、若干車をアウトに寄せて3速まで加速。第一コーナーは丁寧にブレーキングし、頂点付近を狙って2速に落とします。スルスルスルッとまるで自分がうまくなったかの様なターンインの感触があり、頂点付近からアクセルオン。フロントが逃げることも無く、アクセルに応じてテールも出る様なフィーリングで立ち上がります。アウトに膨らみ、2速全開からブレーキングを開始。比較的長めにブレーキングして、次のパイロンに寄れる様な立ち上がりを狙ってアクセルオン。若干アウトに膨らむかと思いましたが、フロントはすすすっとインに入る様な挙動を見せ、全開のまま次のパイロンにつくことができました。右180度では1速まで落とし、サイドを当てます。若干ストール気味でしたが、立ち上がりラインは大体狙い通りとなり、2速に上げてパイロン間を通過する左ターンへ。パイロン手前で一瞬アクセルを抜き、すぐにオン。途中からテールが出始め若干アクセルコントロールをして奥の看板へ向けて加速します。外周奥で軽くブレーキングを入れ、再びアクセルオン。ぐいぐい曲がる不思議な感覚に酔いしれながら次の左ターンへ進入。ここは軽く曲げるだけにして、少しアウトへ。ギャラリー前の左ターンは若干きついので、速度を殺さない様に気を付け定常円気味に旋回します。そして外周左奥の1本パイロンはアウトから入り、2速のままクリアするラインを、と思いましたが若干インに寄ってしまい急遽1速に落としてクリア。アウトに膨らみながら2速、3速と上げ、ギャラリー前へ下りながら進入。ここはうねりで跳ねそうだったので、丁寧にブレーキングして2速へ。2本目のパイロンをクリアするあたりからアクセルを開け、次の2本パイロンの間へ進入しようとしますが、ラインと速度が合わずアクセルを抜いて車を曲げて進入。そこから3速に入れて外周右ターンへ。進入で1速まで落とし、軽くサイドを当てて立ち上がりますが、若干もたつき気味となります。立ち上がりのラインも若干きつく、きもちアクセルを抜く羽目に。そこから3速まで上げ、左右中央付近からギャラリー前の右パイロンに進入。奥のエスケープが少ないためちょっとびびりながら減速ブレーキで2速に落とし、きっちり曲げて次の右パイロンへ、一瞬アクセルオン。すぐにブレーキングして1速に落として右サイドを当てます。しかし姿勢を崩していたのと予想以上にテールが流れ、一瞬トラクションを逃がし、カウンターを当てて次の右2本パイロンへ。一つ目のパイロンがきつくなりますが、軽くブレーキングして曲げ、一瞬アクセルを開けて、次の右パイロン付近でサイド。このタイミングが遅れ、ストール気味となります。とにかく全開し、左の規制パイロンで軽くブレーキングを入れて曲げ、最後の540度に進入。皆に言われていたステアリング舵角に注意して進入してサイド。特に問題なくテールは出ましたが、気がついた時には大きなRを描き、大回りしてゴール。タイムは1'16"78でした。

4第二ヒートの対策

なんだか訳が分からないうちにゴールしてしまった感じですが、とりあえず私の走行直後はトップタイムを更新した模様でした。しかし、第一ヒートが終わってみれば、トップタイムは同じA048を履く斎藤さんで、2秒も離されています。また、2位には同じタイヤの小峰さんが0.2秒差で続いています。どうやら、中間まではコンマ差でくらいついている様ですが、後半セクションでばっさりやられている様子。やはり課題と思っていたテクニカルでタイムを落としている様です。それでも、第一ヒート暫定結果は7位と信じられない様な位置につけており、噂通り、すごい性能を持ったタイヤであることが伺えます。
完熟歩行では、上位の皆さんの意見を聞きながら自分の走りとの違いを分析していると、狙いや曲げ方が明らかに違うところが何点か見つかりました。いきなりターンがうまくなることはありませんが、狙いを若干変えてきっちり踏んでいくことはできるはずです。また、実はグリップでしっかりコーナリングするのが苦手だったりするため、いつもサイドを多用する自分なのですが、感覚的に今一つだった部分があるので、とにかく今回は外周に入る部分を1個所グリップで行くことに変更。思わずシフトダウンしてしまったコーナーは2速のまま抜ける様にするなど、若干狙いを変えていきます。さらに、守りに入ったら負けだから、イケイケで攻めた方が良いとのアドバイスも受け、とにかく踏んでやることを決意します。
また、戦えることが実証されたタイヤを折角履いている訳だから、今日はチャンスだぞ、と皆に言われ、今年の目標であるポイントゲットを本気で狙っていこうと思い始めました。問題は後半セクションでしょう。第一ヒート7位だったとは言うものの、5位とは1.5秒くらい離されており、1位から5位までの第一グループとそれ以降とがくっきり別れています。即ち、ミスをしなければ15秒台前半にはみなが食い込んでくるということでしょう。ポイント圏内は15秒台となるでしょうが、アクセルを抜いた場所やストールしたところ、最後のターンなどを改善できれば充分狙えると踏んでいます。
動きとしては若干アンダーが強い気がしましたが、セッティングを大幅に変えるのは危険なので、リアのエアを0.1だけ上げてみることに。若干曇り気味の天候となり、路面温度も少し下がった状態での第二ヒートとなりました。
5.第二ヒート
第一ヒートと同じく6000rpm程度でスタート。2速、3速と加速し、先ほどより車一台分くらいアウトから外周へ進入。第一コーナーだけは丁寧に入り、2速へ。アクセルオンのポイントだけに気を付けて、全開で立ち上がります。若干テールが流れますが、カウンターが当たるほどではなくクリア。アウト一杯まで広がり、2速全開から軽くブレーキングして、全開。面白い様に車が動き、右パイロンへ1速に落として進入。ストールに気を付けてサイドを当て、少し多めに回し込みます。右にラインを取りながら2速に上げ、パイロン間を通過する左ターンへ。アクセルを抜き若干姿勢を変えてすぐにアクセルオン。するするっとテールが動き、車がインへインへと向かいますがそのまま全開で外周へ。何もしないのに車はインを向き、外周頂点付近で軽く姿勢を整えて再び全開。うねり付近の左ターンでは先ほどと同じく軽くブレーキングしてアウトに立ち上がり、次の左2本パイロンをアウトから狙います。速度低下に気を付けて定常円気味に2本パイロンを通過。そのままアウトから左奥の1本パイロンへ向かいます。今度はきっちり2速で回れる様、ラインを気にして、丁寧に進入。フロントの安心感が気持ちよく、難なく通過できました。そこからはアウトに膨らみながら3速に上げ、下りながらギャラリー前へ。気持ちブレーキングを遅らせますが、それでもかなり丁寧にブレーキングし、2速に落として左へ旋回します。ここは立ち上がった後の2本パイロン間までの定常円をイメージして舵角を当て、進入し、アクセル全開。ほとんどいちかばちかってノリでしたが、不思議とスムースに立ち上がり、かなり良い感じで3速に上げ右外周へ向かいます。ここまでかなり良く走れている印象があり、こりゃいいぞぉとか思いながらブレーキング&シフトダウンを開始。右外周へは先ほどより車一台分くらい外から入り、我慢の1速グリップで通過します。今までこういう1速グリップコーナリングはぎくしゃくしがちだったのですが、タイヤのせいか、驚くほどスムースに旋回でき、全開で立ち上がれます。2速に上げ、根性でアクセルを離さずさらに3速へ。今度はアウト一杯からギャラリー前を下り、パドック前への進入で速度を殺さない様、一定のRを描く様なイメージで2速に落として進入します。それでもものすごい速度で迫り来るガードレールにびびり、余裕でタイヤの限界内でのターンとなってしまった様です。すぐにアクセルを開け、先ほどトラクションを逃がしてしまった右ターンへ丁寧に進入。立ち上がりをアウトにはらむ様、緩くサイドを当てて立ち上がります。予定通り決まり、次の右2本パイロンへ。アウトから入ったため緩い進入でしたが、それでも一瞬ブレーキングを当て、すぐにアクセルを開けた直後、次のパイロン手前でサイドを当てます。一瞬パイロンを触ってしまうかと思いましたが、なんとかクリア。立ち上がり、左の規制パイロン付近で一瞬アクセルを抜いて曲げ、最後の左540度に進入。今度はきっちりステアリングを切り込むことを意識し、サイドを当てます。それでも思い切りが足らなかったのか、パイロンが見える程度まで一瞬はらみながらアクセルは離さずゴール。タイムは1'14"79でした。
6.最後に
ゴール直後、14秒ぉぉぉ100分の1届かず2位ぃぃぃっ、と島村さんの絶叫が聞こえ、一瞬そのことが理解できませんでした。ふと前を見ると小峰さんが驚いた様な顔で、拍手してくれているのを見て、ようやく理解できた感じでした。自分でも驚く様なタイムが出てしまいました。正直言って、15秒台に入れるのがやっとだと思っていたのですが。でも、自分でもこのタイムが出るんだから、後半ゼッケンはもっと出してくるよなぁ、とか思いながら皆の出走に注目です。第一ヒートから好調の斎藤さんがなんと13秒台をたたき出し、さらに小峰さんはそれを上回ってゴール。こりゃポイントもやばいかなぁなんて思っていましたが、終わってみればなんと5位のポジションをゲット。初ポイントにして初入賞となってしまいました。
それにしても、めずらしく大きなミスをせずに走りきれましたし、今回の走りには満足しています。それ以上に大きいのがタイヤの影響でしょう。ポンと乗ってこのタイムが出せてしまうところが凄すぎます。A048装着車の結果はと言えば、A3、A4ともにワンツーをゲット。文句無しの結果といえるでしょう。また、自分で言うのもなんですが、私レベルの人間が5位なんぞに入れてしまうことが、このタイヤの性能を物語っているのではないでしょうか。
それにしても不思議なフィーリングのタイヤという気がしました。コーナリングはまるで自分がうまくなったかの様な錯覚に陥るような動きをします。舵角を当てたままアクセルを開けてもぐいぐい曲がっていくし、今まで経験したことの無い不思議な動きでした。唯一気になるのは深いターンでしょうか。若干癖があり、乗りこなすには練習が必要かもしれません。乗れる人が乗ればまだまだ速くなりそうなタイヤですね。
時間が立つにつれて今回の5位という結果に喜びを感じていますが、一生懸命練習してゲットしたのとはちょっと違いますので、複雑な思いもあります。ただ、戦えるタイヤを履きさえすれば、きちんと結果が出せることを証明できたことにとても安心しました。これも今まで難しいタイヤをなんとか乗ろうと努力してきたおかげかもしれませんね。きっと無駄ではなかったと言うことでしょう。また、一時的にグリップの良いタイヤを試した経験も、実は役に立っているのかもしれません。
また、今年から地区戦に出る様になって、特にA4の皆さんにはいろいろアドバイスを頂いて来ましたが、なんとなくこれでようやく地区戦ドライバーの仲間入りができたような気がして、少しほっとしています。えっ、まだまだだって?ま、そりゃそうかもしれませんが、第一段階はクリアというところかな。地区戦でポイント取って初めて初中級者は卒業と言える気がしていましたので、そこまでこれたことをうれしく思っています。また、協力をしてくれた監督には特に感謝です。ありがとう。
おそらく、昨年いきなりJMRC関東戦で3位を取った時の様に、次のイベントで真価が問われると考えています。今回の結果に奢れること無く、次の伊那もしっかりと戦いたいと思います。
2000参戦記のメニューへ戻る

スペシャリストを夢見てのメニューへ戻る