1996スピードマインドジムカーナ関東シリーズ第8戦参戦記

11/(日)、茨城中央サーキット、ドライ

1996スピードマインドジムカーナ関東シリーズ第1戦 A4
順位ドライバー型式1st-try2nd-trybest time
1位遠藤康浩CE9A1'12"1171'09"0371'09"037
2位岡留康文CE9A1'09"4571'09"457
3位鈴木靖也CE9A1'16"957(P1)1'10"0811'10"081
4位伊田和夫GC81'10"7901'10"3431'10"343
5位加藤正隆GC81'11"2281'10"6491'10"649
6位高橋義人CE9A1'10"7561'10"756
7位佐々木将人CE9A1'12"1261'10"9471'10"947
8位石川浩史BNR321'11"0561'11"056
9位増田一良CE9A1'11"5041'11"504
10位中村真幸BNR321'12"4611'12"461

1.シリーズ状況

 今年、このシリーズを全戦追ってきましたが、当初の目標であったシリーズ6位入賞へは、今一歩といった状況にあります。現在の私のシリーズ状況をまとめると、
 スピマイカップ−>6位入賞で、名誉が得られ、スピマイ誌に写真が掲載−>現在シリーズ7位、シリーズ6位の増田さんとは同点、8位の鈴木さんとは3ポイント差、増田さんに勝ち鈴木さんに3ポイント以上負けなければ6位入賞
 スカラシップ−>6位入賞で、タイヤ1セット−>現在シリーズ7位、シリーズ6位の斎藤さんとは1ポイント差、斎藤さんに勝って4位以内に入ればシリーズ6位入賞
 有効ポイント制のため、1ポイント差といっても単純に勝てば良いわけではなく、上記した以外に入賞の可能性はありません。とにかくライバルに勝って、なおかつ4位に入ることが必須条件です。どちらも、シリーズ6位と7位では大違いです。
 で、今日の私を中心としたA4の状態はというと、マイナス面としては、車は絶不調、高速ターン、サイドターンがやりずらい。過去にドライでの最高位は5位である。今年ドライで勝てたことの無い人が3人も出ている。最終戦はシリーズ入賞の可能性のある人は全員参加してくるためレベルが高い。といったところです。プラス面としては、ICCは絶対スピードが低いため小回り戦法をとっても大きなタイムロスにならない。シリーズ順位が確定していない人はそれなりにプレッシャーを背負っている。追われる身より追う身の方が精神的に楽。といった感じです。

2.当日

 こんなことを前提に、スピマイカップ最終戦当日となりました。天気は非常に良く、かなり寒い感じですが、雨が降る気配はありません。昨日から会場近くに宿泊しているおかげで、5:00ちょっと前と、いつもよりだいぶ遅く起き、途中、見なれた車に何台か会いながらICCへ。我がチーム監督は、昨日のビール&日本酒が多少(かなり?)残っていることと、私よりも緊張していたのか、あまり眠れなかった様子でかなり辛そうでした。私はというと、岡野さんの宣告でふっきれたのか、昨日の酒が丁度よかったのか、体調は良く、すがすがしい気分でぴざまんを口にくわえ、筑波の峠を軽く流して会場へ向かいました。あの峠を走っている私の車の中で眠れる監督には恐れ入ります。
 TV撮影が行われるとのことで、TV asahiのスタッフが慌ただしく動く中、いつもの様に準備をします。1年間も通して戦っていると、かなり知り合いも増え、ああでもないこおでもないと会話をしながらタイヤの話しをしていると、どうやらこのコースでは、タイヤの山はあればあるほど良く、山の有無で秒単位でタイムが変わってくるとのことでした。残念ながら、そんなこと知らなかった私はSSタイヤを1セットしか所有しておらず、5分山程度です。Bシードが決まりスピマイシリーズチャンプが決まった岡留さん、成績を争っている斎藤さん、鈴木さんあたりも5分山程度です。しかし、9分山以上のタイヤを持ち込んで勝ちを狙ってきている人もおり、ちょっとやられたって感じです。そんな中で岡留さんは、”山がある人は、俺達に負けたらはずかしいぜぇ”とか、余裕のコメントをしておりました。この日のA4クラスは、妙になごやかで、とてもイベント前とは思えない様な雰囲気でした。
 ポイント争いをしている斎藤さんは、車の仕様変更に伴い動きがだいぶ変わってしまった様で、乗りこなせていないと話していました。チャンスかもしれません。でも、前回も同じ様な事を考えていたら失敗してしまったので、今回はとにかく人のことは気にせず、自分の納得のいく走りができる様、まわりは気にしない様にこころがけました。

3.コースと対策

 コース図に目を通すと、皆が噂していたとおり、ICCのおきて破りのコース設定となっています。コースの概要は、下の段からスタートし、ターンをまじえて左奥から上の段に上がり、上の段に出たらすぐに180度ターンして下におり、ターンをまじえて左手前まで戻り270度ターン。そこからギャラリー前を上がり上段右奥で高速左ターンののち、スピードを乗せて左90度をクリア、左180度、左270度とこなし、今度は右、右とスピードを乗せてターンした後、シケインを抜け、下の段に下り、高速で左にターンして、ギャラリー前を上がり、上段右奥で右180度ターンした後、スラロームしてゴールといった感じです。ICCでは必ず設定されるバックストレートを使った高速ラインが無かったり、下の段から上の段へ上がったと思ったらすぐ下りるとか、あとは、赤城さんが設定したコースらしい、各ターンで、ちょっとづついやらしい規制パイロンが配置されているといったコースです。しかし、ラッキーなことに、私が現在最も問題とする完璧にスピードを乗せて走るべき高速ターンと言える部分は3〜4箇所程度で、なんとかごまかして走れるかもしれないといったコース設定なのです。あとは、タイムを左右しそうなテクニカルポイントが4箇所以上といった感じです。どれもミスをすれば、0.5〜1秒のタイム差となって現れそうです。また、今回のコース、ランサーでは1速が吹け切ってしまい一瞬2速に入れ、すぐに1速に落とす必要がありそうな距離の区間が多く、走り方によってはかなり忙しくなる部分があり、このあたりもポイントになりそうです。今日のアプローチのポイントは、車速を殺さない様な高速ラインは捨て、全体的に最短距離を通るラインを選択することにしました。
 総参加台数151台、A4クラスは17台と、最終戦というだけあって盛況です。シリーズ入賞を受けとる条件として、最終戦の参加が義務づけられているので、当然ながらシリーズ入賞する可能性のある人は、全員参加しています。ということは、今年の中で1、2を争うハイレベルな大会であると言えるでしょう。そんな状況でも今日の目標は、ずばり4位以内です。4位以内に入ってライバルに負けたとしたならば納得できるはずですから。また友人の小栗くんは、この日BB-2クラスのシリーズ優勝がかかっており、ライバルに勝つこと、即ち優勝することが今日の必須条件となっている様です。お互い頑張りましょう。

4.第一ヒート走行

 セッティングはドライセッティングとし、早速第一ヒートです。唯一、車が壊れないことを祈りながらスタートします。低めの路面温度とICCの路面を考慮して、6500rpm程度でクラッチミート。全開で加速直後、左90度を軽いブレーキングとともにクリアし、奥のパイロンへ。奥のパイロンでブレーキングとともに右サイドターン。ここは大きく外に膨らむ予定が、冷えた路面に冷えたタイヤであることを考慮しないサイドの引き方をしてしまい、かなり鋭角なターンとなり、なおかつフルカウンターになってしまい、左端を走るつもりが右端のラインを通って上の段に上がるはめに。登りながら2速に入れ、すぐに上段に達し、ブレーキング&シフトダウンで1速に落とし、右手の規制パイロンをよけてすぐに左にステアして180度サイドターンをこなします。登りで右側を走ってしまったために、規制パイロンがきつくなってしまったのですが、その後のサイドターンは、タイヤがまだ暖まっていないせいか、なんとか決まり、下の段へ。下りながら2速に入れ、すぐにブレーキング&1速シフトダウンして、左90度ターンをクリア。1速全開まで加速し、右270度サイドターンに進入。ばっちりとはいかないまでもそうロスなく決まり、全開で3速まで加速しながら観客席前を抜け、右奥登りでブレーキングとともに2速シフトダウン。本来ならここでテールを出し加速していきたいところですが、その様な挙動は作りだせず、予定通りさらにブレーキングを続け1速にシフトダウンし、左高速ターンを小さくクリア。アクセルを開け2速にシフトアップしながら、さらに大きな左ターンをクリア。後半テールスライドしながら、左180度ターンに向かい、ブレーキングしながらパイロンに近付き、1速シフトダウン&サイドターン。ここは、パイロンになかなか近付け無かったため、パイロンから2m以上も離れてのターンとなってしまいました。ターン後は全開で加速し、リミッターがあたってしまうため一瞬2速に入れ、すぐブレーキング&1速シフトダウンとともに、またまた右手にある規制パイロンを避けて左270度ターンに進入。なんとここで、痛恨のサイドミス。荷重移動に失敗した上に、タイヤが暖まってきたせいか、テールが出ず、一瞬加速し再びサイドを引きますが、全くだめ。出口の規制パイロンがきつく、かなりスピードを落としたグリップでクリアすることになってしまいました。気を取り直して加速し大きく右にターンしながら2速に入れ、すぐにブレーキング&1速シフトダウンし、右左というシケインに進入。シケイン後、下の段へ下りながら2速へシフトアップ。下の段に下りるとすぐに左高速ターンですが、ここもブレーキング&1速シフトダウンで最短距離を狙い、全開で加速しながら、再びギャラリー前を抜け2速全開まで加速。右奥でブレーキングしながら上段に登り、登ったところでさらにブレーキを強く踏んで1速に落とし、右サイドターン。パイロンから離れながらクリアし、ギャラリー前へ加速しながら下り、一瞬2速に入れ、すぐに1速に落としてスラローム後ゴール。
 タイムは、1'12"117でした。A4クラスが第一ヒートの走行を終えた時点で6位と、順位的にはまぁまぁですが、タイム的にはトップの2秒半落ち、かなり悪い感じです。しかし、このままの順位ではタイヤはもらえません。

5.昼休みと第二ヒートの対策

 やはりトップは今年Bシードを決めた岡留さんで、いつもの人がそれなりの走りをしている感じです。この中で4位に入るには、やはり10秒台の前半が必要といった感じです。そして良く見ると、増田さんはパイロンタッチを2本もしていますが、それがなければ2位のタイムと、きっちり走られてたら完璧に負けてました。で、斎藤さんはというと、どうやら、今度はエンジンの調子が悪く、加速時にガス欠症状の様な息つきが見られたとのことです。増田さんは無理にしても、斎藤さんはもしかしたらとらえられるかもしれません。しかし6位の順位では意味が無く、なんとか10秒台、それも前半に入れ4位以内に入り、少なくとも二人のうちどちらかに勝ち、シリーズ、スカラシップともに入賞したいところです。
 中村さんに”どうだった?”と聞かれた時、”上のサイドターン失敗しちゃいましたよ”というと、”おまえ、他のメーカーのブレーキパッドに変えていないだろうなぁ”とか言われてしまいました。またある人には、”なんか、走りが中途半端だったねぇ”ときつい一言を。確かに躊躇した面は多く、きっちり踏んでいなかったことは確かです。一方の小栗君も、かなり苦戦を強いられており、シリーズチャンプのかかったプレッシャーからか、初めてスピマイカップに連れてきた奥さんの前で我を忘れてしまっているのか、めずらしいミスを連発し、パイロンタッチ2本と、全くタイムを残せませんでした。とにかく、彼はシリーズチャンプをかけて優勝することしか考えておらず、私はシリーズ6位入賞をかけて4位以内に入ることを考え、お互いに悔いの無い走りが出来る様にと話をし、二本目の対策をしました。
 果して、2本目に10秒台前半が出せるかどうかですが、完璧にミスをしたスタート直後の奥と、上の段での270度をきっちりこなすだけで、1.5秒はアップすると思われます。さらにもう少しのタイムアップを狙い、岡留さんのアドバイスをもとに、1本目より、さらにラインを厳しくインにとり、アクセルを踏みきれなかった部分でもきっちり踏んで行くことに。また、微妙なギア選択が要求されるため、かなりギア選択で躊躇した面があったところを、迷わず決めたギアで走ることにします。きっちり走れば、合計2秒はいけるでしょう。
 昼前に貼り出されたポイント表を見ると、A4のシリーズ6位あたりは熾烈な争いとなっており、どうやら、4位〜7位くらいまでは5ポイント差前後で争っている感じです。ポイント上ではもちろん私が不利ですが、増田さんは1本目パイロンタッチのためタイムを残せておらず、また、斎藤さんもパイロンタッチでタイムを残せていない上にエンジンの調子が悪いという不安を抱えています。そして、私は、6位とはいえ一応タイムを残していることから、他の二人に比べると精神的に余裕があると思われます。このまま雨でも降ってくれたら、シリーズだけでも6位入賞できそうなのにとちらっと思いましたが、それでは、私も後悔することでしょう。弱気な考えは捨て、とにかく、良い方に良い方にと考え、4位以内を目指します。
 走り方が明確になったせいか、1本目の状況からか、かなり精神的に楽になり、サイドミスさえしなければ10秒台は出る様な気がします。そして第二ヒートが始まると、小栗君の参加するBB-2クラスが行われ、小栗君は惜しくも2位、ライバルの吉田さんが優勝となり、シリーズポイントではこの二人が同点となったのですが、優勝回数の多い吉田さんがシリーズチャンプ、小栗君がシリーズ2位となってしまいました。しかし、インテグラRにスターレットでここまで戦った小栗君は、立派であると言えるでしょう。
6.第二ヒート
 そして、今年スピマイカップ最後の走行であるA4の第二ヒートが始まりました。とにかく、今の車で、精いっぱい走り、悔いの残らない走りをすることだけを考えて、スタートです。1本目は若干ホイールスピンが大きかったため、6250rpm程度でクラッチミート。全開で加速直後、左90度を今度はアクセルオフのみでクリアし、奥のパイロンへ。奥のパイロンでブレーキングとともに大きくターンする様、テールが滑べったか滑べらないかといった程度を狙って軽くサイドをあて、右サイドターン。これがばっちり決まり、予定通り左端のラインを通って上の段へ。途中2速に入れ、すぐに上段に達したところでブレーキング&シフトダウンで1速に落とし、右手の規制パイロンをよけてすぐに左にステアして180度サイドターン。左から進入したため、規制パイロンが緩く感じ、ややパイロンから離れてしまいますが、大きなロスなくクリア。下りながら2速に入れ、すぐにブレーキング&1速シフトダウンして、左90度ターンをクリア。1速全開まで加速し、右270度サイドターンに進入。一本目よりきっちりと決まり、全開で3速まで加速しながら観客席前を抜けます。この登りのジャンプでは、タイヤを浮かさない方がいいとのことで、ハーフアクセルを使いながらタイヤを浮かせない様にして加速し、右奥上段に向かいながら1本目よりブレーキングを遅らせ、2速、1速とシフトダウン。直後、全開で加速し、左高速ターンをパイロンを離さない様に小さくかつ全開でクリアし、2速にシフトアップしながら、大きな左ターンをクリア。このあたりは、思ったより、よく車が動きました。ほぼ全開から左180度ターンに向かい、ブレーキングしながらパイロンに近付き、1速シフトダウン&サイドターン。やはり1本目と同様、パイロンになかなか近付けず、パイロンから2m以上離れてのターンとなってしまいました。ターン後は1速のまま走り切るつもりだったため、カウンターがあたらない程度に丁寧にドリフトさせて、低回転でタイヤをグリップさせ、全開で加速。直線的にラインをとり、4〜5回リミッターを効かせたまま規制パイロンをスラロームぎみに進入し、問題の270度ターンへ。またまた、荷重移動不足で、サイドを引いた瞬間リアがロックしませんでしたが、”ここでサイドを下ろしたらさっきの二の舞だ”と思い、気合いでサイドを引き続け、もう車が止まりそうな速度で”うぅ、もうだめかっ”と思った所で、ずるっとテールが流れ始め、”やった”とその瞬間にアクセルオン。無事270度をクリアでき、結果的に、かなり無駄の無いラインで270度をクリアできたみたいです。これで相当気が楽になり、”ちょっとミスったけど、まだいけるっ”と車のなかで思いながら加速します。その後右回りのターンもRを小さく保ちながら、なおかつアクセルはほぼ全開で2速に入れ、シケイン手前で1速に落とし振り返しを狙ってシケインに進入。実際にはテールスライドするほどの振り返しにはなりませんでしたが、荷重移動はうまくいき、ほぼ狙い通りにクリア。その後、下の段へ下りながら2速へシフトアップ。下の段に下りてすぐの左高速ターンでは、1本目よりやや過激に、下り路面を使ったブレーキングドリフトぎみに進入し、やはり最短ラインを狙い、そのまま1速まで落とし、すぐに全開。4輪とも外へ流れながら、全開で2速に入れ、ジャンプでタイヤを離さない様こころがけ、再びギャラリー前を抜け2速全開まで加速。先ほどよりスピードが乗り、2速リミッターから右奥左ターンで緩くブレーキングしながら上段に登り、ここも振り返しを狙って、若干テールを右に流し、じわっとブレーキングを強め1速に落とし、カウンターを利用してやや振り返しぎみに右サイドターン。パイロンからは若干離れましたが、そうロスも無く、ギャラリー前へ加速しながら下り、一瞬2速に入れ、すぐに1速に落としてスラロームへ進入。ここまで、大きなミスもなく走り切ってきたので、パイロンに異常に気をつけ、かなり慎重にスラロームをクリアし、ゴール。
 ゴール直後、窓を開けて、放送を聞くと、”*!*!*!、**秒037、037、ジャラララァン(音楽)”と聞こえ、タイムも良く聞き取れず、状況が分からず、まさか、パイロンタッチしたのか?とかわけのわからないことを考えてしまいました。良く聞いていると、”9秒037で、トップ逆転!”と放送されているのが聞こえましたが、”えっ、俺がトップ?”と思いながらもまだ自分のことだと半分信じられず、ガッツポーズしようと思う心をおさえてパドックへ向かうと、岡留さんが拍手してくれてました。それではじめてトップタイムを出したんだと確信し、パドック前で小さくガッツポーズ。タイムは、な、なんと、1'09"037と、シードクラスでも4位に入る様なトップタイムをたたき出してしまったのです。
私の後に出走する6台を見ようと、ダッシュで監督のもとに。私の席の回りは大騒ぎで、監督はビデオを回しながら、”タイヤもらえる?タイヤもらえる?”と連発してました。”このタイムならおそらく、タイヤはもらえるよ”と言いながら、残りの走行を見ます。私の直後の増田さんはプレッシャーからかミスして11秒台に終り、6位は確定しシリーズ6位は確定。これで私の写真が雑誌にのります。やった。その後の斎藤さんは痛恨のパイロンタッチでタイムを残せず、5位確定。次の高橋さんも270度で失敗しタイムダウンで、4位が確定し、この時点でスカラシップ6位が決まりました。これで、タイヤがもらえることに。もう、我がチームは、タイヤがゲットできたことで大騒ぎです。すると小栗君が、”いける、優勝できるよ、路面温度はどんどん下がってるからいけるよ”とか、わけのわかんないことを言ってます。はっきり言って、好タイムを出したとは言え、スカラシップ入賞すなわちタイヤのことばっかり頭にあって、優勝なんて全く考えていなかったものですから、この発言にはちょっと驚きました。”岡留さんとは格が違うから、それは無理だよ”と言いながらも、もしかしたら3位には入れるかもしれないなと心の中で思い始めました。ラスト3台の加藤さんは、タイムアップしますが、10秒台で、ここで3位が確定です。”やったぁ、ドライ路面で表彰台だぁ”と喜んでいると、石川さんもタイムが延びずタイムダウンで、2位が確定。”やべぇ、こりゃぁ、本当に優勝かぁ”なんて言いながら、岡留さんの走りを見ていると、下の段の270度で若干のミス。小栗君が”やったぁ、ミスったぁ”と叫び、でもまだわからんと見ていると、上の段で、なんと脱輪。これで私の優勝が決まりました。岡留さんのタイムも10秒台と、脱輪が無かったとしても勝つことができました。もう、大騒ぎです。知らない人とも”ありがとう、ありがとう”とか言いながら握手しまくってました。
7.走行後
 良いタイムを出せたのは、ほとんどアンダーを出すことがなかったことと、おそらく、走行ラインがかなりよかったのでしょう。また、ハーフアクセルなど使わずほぼ全ての区間でアクセルを全開にすることを心がけたのが良かったのか、きっちりブーストをかけて走れた感触はありました。それに加え、後半ゼッケンの人達は、皆、相当プレッシャーを抱えていたのでしょう。1本目に私はタイムを残している上に、2本目先に走った私が良いタイムを出してしまったのですから。今回も、1本目にタイムを残すことの重要さを痛感しました。
 A4の走行を見届けた後、車検のためすぐにパドックに戻り、初めての再車検を受けることができました。戦ってきたA4のみんなに”おめでとう、もう、全日本までやめられないっすね”とか言われ、私がシリーズ入賞したせいで入賞を逃した斎藤さんからは”車の調子が悪かったから、ぎりぎりで負けたら納得いかなかったかもしれないけど、優勝されちゃったらしょうがないよ。例え車が絶好調でも、勝てなかっただろうから”と言われました。なんていい人達なんでしょう。この辺のスポーツマンシップ豊かなところが、気持ちいいですよね。もし逆の立場だったら、同じ様なことが言えたかというと甚だ疑問であり、是非とも見習いたいと思います。やっぱりジムカーナはストリートとは違って、健全なるスポーツであると感じました。岡野さんにも、”よかったね”としみじみ言われ、中村さんにも、”岡野にあんだけ言われたのによかったなぁ、普通はこんなにうまく上に上がれないんだぞ、もっと上はさらに厳しくなるけど、今みたいによく考えて走れば、必ず上達するから頑張れよ”と言われました。私はもちろん、監督が一人で歩いている時でさえも、いろんな人に、”おめでとう”、”おめでとう”と言わていた様で、大変な騒ぎでした。
 その後、スピマイ誌に掲載される写真撮影を、シリーズ順位順に撮るというので、今日はスタッフをやっている赤城さんから順に名前が呼ばれると、岡留さんが呼ばれた後に、”なんだよ遠藤、どうしちゃったんだよぉ、すげぇじゃねぇか、おまえシリーズ2位だぞぉ、おまけに、スカラシップも4位に入ってるじゃねぇか”とか言われてしまいました。それを聞いて”えぇっ?シリーズ2位は間違いでしょ?違う人のところを見てません?”と成績表を見せてもらうと、なんと、今まで2位だった石川さんとの19ポイント差を、優勝して20ポイント獲得したことで逆転してしまったみたいなんです。信じられません。おかげで、なんと、スピマイカップシリーズA4クラス2位、それも岡留さんの次という、文句なしの成績で終えることができました。当然、スカラシップも4位に入ったため、タイヤ4本頂きです。
 表彰式では、お立ち台の真中に初めて乗ることができ、恒例の優勝者コメントでは、なにを言っているのかわからないくらい、うれしく、緊張してしまいました。島村アナに、”すごいですねぇ、1年目でもうこの位置ですからねぇ”と言われたのは覚えています。そしてシャンパンファイト?が行われ、全身シャンパンまみれになってしまったにもかかわらず、ずっとにやにやしていました。帰りの車でも、運転中、私は一人でにやにやしていた様でした。
 以上の様に、スピードマインドカップを年間通して参戦してきましたが、全8戦参加して、優勝1回、2位1回を含む入賞5回、シリーズ成績2位と予想以上に良い結果を残すことができました。目標にしていた岡留さんにも、最後に一度勝つことができ、満足しています。また、多くの人と知り合うことができ、本当の多くのものを得ることができました。これも、監督をはじめ、中村さん、岡野さん、赤城さん、岡留さん、小栗君、他多くの方々のおかげだと思っています。ありがとうございました。


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last modified : 5/May/97
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