2000年の本

本あんまり読まなかったかも。読んでも書かなかったのも何冊かある、
ことにしておこう...。


◆希望の国のエクソダス(村上龍) (2000.09.10)

村上龍の新刊。新聞だか雑誌だかで書評を読んだら面白そうだった
ので読んでみました。

予想以上に面白かった。今まで何冊か読んだ村上龍の中では一番
のような気がします。近未来の日本の話なんだけど、もしかしたら
そういうこともあるかもしれないと思わせてしまうところがさすが。
簡単に言えば「中学生がネットを使って巨大な組織をつくる」って
話なんだけど、テンポもよくてなかなか読ませます。
この中学生たちが妙に冷静で大人びていてでもどこか現実感のない感じが、
すごく「今」を表しているように思います。「この国には何でもある
けれど希望だけがない」とか「次の時代になっても、もう昔のように
全員がある程度の幸福を手に入れるということはもうありえない、と
みんな知ってしまった」とかね。それを熱くならずに冷静に見ている
ところに好感が持てます。「あの金で何が買えたか」ってアプローチは
センセーショナルなだけであまり意味がないように思うので、やっぱり
小説を書くことでコミットメントするっていうのが村上龍には一番向いて
いるんじゃないのかな。

坂本龍一の実名が出ているのも笑ったし、(たぶん)某県知事選に
出馬予定の作家のことを皮肉っていたりして、そのあたりも楽しめます。
現代のこの閉塞感はいったいどこから来ていて、これからどうなって
しまうんだろう...という不安を抱えている人は読んでみるといいかも、
と思います。私はすこーしだけすっきりしました。

◆だいたいで、いいじゃない(大塚英志×吉本隆明) (2000.07.29)

久しぶりの評論本。と言っても対談なのでわりに読みやすかった
です。
エヴァンゲリオンを観たときに感じる「違和感」について
の話とか、村上春樹と吉本ばななの立ち位置の違いの話とか、
今の私たちの「欲望」についての話とか、自分では気づかな
かった観点からの話が多くてなかなか面白かったです。

基本的に大塚英志も吉本隆明もわりに好きな評論家
なのですんなり受け入れられるところが多かったです。
80年代サブカル世代を自認する人にはオススメかなと。

◆弥次喜多 in deep 4(しりあがり寿) (2000.04.01)

「真夜中の弥次さん喜多さん」に続く「弥次喜多 in deep」
の4巻目。ホモの弥次さんと喜多さんがお伊勢参りの道中で
いろんな目に遭うというストーリーですが、これが時間も
空間も越えた壮大なお話で泣けるのですね。毎回出るのを
待ちかねて読んでます。

今回も予想どおり感動のストーリー。途中でなんども
泣きそうになるのをこらえました(笑)。3巻目ではなんだか
「手法」っぽくなってしまっていて、いつものように
泣かされちゃった感じだったのが、今回はまた別の
雰囲気でよかったです。真夜中の弥次さん喜多さんから
また通して読み直したくなりました。

◆神の子供たちはみな踊る(村上春樹) (2000.02.28)

村上春樹の最新短編集。村上春樹の新刊となれば、何は
さておき読まなくては、と言った感じで買ってみました。
最近のものは面白くないわけではないのに、もう一つ
心の琴線に触れない感じだったのですが、これは
久しぶりに私の好きなタイプのものでした。

神戸の地震を題材にしているということでちょっと
引いてしまうかなと思っていたのですが、地震そのものが
物語の中で果たす役割そのものは小さくないのですが、
あまり生々しく出てくることがないので大丈夫でした。

特によかったのは最後の書き下ろしの「蜂蜜パイ」。
終わり方の余韻がとてもよくて涙が出そうになってしまい
ました。最近の短編じゃなくて少し前の短編に近い感じ
かも。予想と違ってかなりよかったです。



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