白の手番で最短の勝ちかたは?
この問題では黒がh5にポーンがあって2がないのに注目して白はd1を目指します。正解は
1.Kb1 Kh7 2.Kc1 Kh6 3.Kd1です。
ここで黒は2がないので7か8に動きますが、今度は白が黒の真似をして7か8に動きます。そして次に黒が2か3に動けば白も同じところへ動いて勝ちになります。
黒が8、7、8と粘っても白は8、7、5として1を狙い、黒がそれを防いで3に入れば白も3に入るという要領です。
初級の人にも理解できるようにご説明したつもりですが、やはりむずかしいですね。Comprehensive Chess EndingにはEIGHT-SQUARE SYSTEMというタイトルで類題が7、8題出ていました。なぜEIGHTなのか私には理解できません。
渡井さんの「早わかりチェス」には1から12までの番号付けをした例題が出ていて「見合いの拡張概念で考えかたさえわかれば、とても簡単です・・・?」と書いてありますが当時入門書として買った私にはさっぱりわかりませんでした。
ということは、白 Kc3 のとき、黒 Kf6 以外の応手は負けですね。
黒 Kd5 は白 Kd3 以下、黒 Ke6 (強制手) に白 Kc4 まで。
それ以外のケースについて考えてみても、F(Kc4), F(Kd3) のディレンマを解決できる黒の着手は Kf6 以外ありません。
という訳で、
F(Kc3)={Kf6}
が示されました。
同様の論法で、新たな制約が次々に浮かび上がってきます。
F(Kc2)={Kg6}
証明:
黒 Kd5 は白 Kc3 で負け。 (以下、黒 Ke6 に白 Kc4 まで)
それ以外のケースについて考えると、F(Kc3), F(Kd3) のディレンマにより、黒は Ke6, Kg5, Kg6 以外では負け。
しかし、黒 Ke6 は白 Kd2 で負け。( F(Kc3), F(Kd3) のディレンマが解決不能)
また、黒 Kg5 は白 Kb3 で負け。( F(Kc4) と F(Kc3) のディレンマが解決不能)
F(Kd2)={Kg5}
( F(Kc2), K(Kc3), K(Kd3) のトリレンマ)
F(Kb3)={Kf7}
証明:
F(Kc2), F(Kc3), F(Kc4) のトリレンマにより、黒は Kf5, Kf7 以外では負け。
しかし、黒 Kf5 は白 Kb4 で負け。( F(Kc3), F(Kc4) のディレンマが解決不能)
F(Kb2)={Kg7}
( F(Kb3), F(Kc2), F(Kc3) のトリレンマ)
F(Kc1)={Kd5, Kf6}
証明:
黒 Kd5 で白のdポーンを取れれば勝てる。
それ以外のケースについて考えると、F(Kb2), K(Kc2), K(Kd2) のトリレンマにより、黒は Kf6, Kh6 以外では負け。
しかし、黒 Kh6 は白 Kd1 で負け。( F(Kc2), K(Kd2) のディレンマが解決不能)
F(Kb1)={Kd5, Kf7}
( F(Kb2), F(Kc1), F(Kc2) のトリレンマ)
実際には 1.Kb1 に対して 1...Kd5 や 1...Kf7 にジャンプする訳にはまいりませんので、ここまで調べたロードマップに従って、白勝てるはず。
黒が最強に頑張った場合の手順は
1.Kb1 Kh7 2.Kc1 Kh6 3.Kd1 Kg5 4.Kd2 Kg6
5.Kc2 Kg5 6.Kb3 Kf6 7.Kc3
となりましょう。
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