特集! 夏場の温間時再始動困難について。


エンジンを止めて少し用事を済ませた後、始動しようと思ってもなかなかかからない。
こんな経験はキャブレター車に乗ってる方なら誰もが経験してると思います。一体なぜなんでしょう。
やっとの思いで始動しても、少しの間エンジン回転が低くかったり、マフラーから黒煙を吐いたり
又、室内にまでガソリンの臭いが充満したりと、濃くなってると薄々感じてらっしゃるのではないでしょうか?
そうです。フロート室のガソリンが沸騰してガスとなり、エアクリーナケースやシリンダーに流れ込んで行きます。
エンジンがかかってる時、フロート室には常にタンクから新鮮なガソリンが送り込まれて来ますが
停止後はその供給も止まり、温度が上昇します。沸点の低さも相まって、あれよあれよという間に気化して行きます。
この時ポコポコと泡立っているのが見て取れます。

四輪ではほとんどその傾向にあります。二輪では少ないようですが、逆輸入車や古い2ストローク車によく聞きます。ひどい物は、ガソリン給油後の再始動ができないほどだそうです。現在対策として、キャブボディーをエンプラにしたり、エアベントバルブを電磁式とし、エンジン停止後の蒸発ガスをシリンダーに行かせないようにしていますが、決定的な解決策は無いようです。ガソリンのリターンも問題があります。エンジンルームまで来て熱せられたガソリンがタンクに帰るのは結果的にタンク内のガソリン温度を上げてしまいます。インジェクション車にこのトラブルは起こりませんが(高圧でパイプ内に閉じ込められており、又シリンダーに入るにはノズルを開けるしかない。よってパーコレーションも起こりにくい)タンク内の蒸発ガス発生抑止の為、リターンはタンク内に設けられる傾向にあります。

唯一の方法は始動の仕方を工夫するしかありません。
濃くなったシリンダー内を爆発できる空燃比にまで薄めてやれば良い訳ですから、新気をどんどん導入してやります。
つまり、アクセルを開けて(全開が良いみたいだが、車両によって違うだろう。)セルを廻し、
かかった後軽くレーシングをして回転を落ち着かせます。
負圧ピストンバルブ式のバイクなどは、アクセルを開けてもピストンが邪魔して思うように新気を導入する事が
できない物もありますが基本的にこれで何とかかかるはずです。

もちろん調子の悪いキャブでは望むべくも有りませんが、車両側にも幾つか見ておかなければいけない個所があります。
アイドルコンペンセーター、ホットエアー、キャ二スター等です。
コンペンセーターはクリーナーケースに付けられてる場合が多く、吸気温度が上昇するとエアを吸わせて空燃比を
薄くします。ホットエアーも季節により適切な位置にしなければいけません。
キャニスターはキャブレターフロート室とつながっており、その途中にワンウエイバルブや電磁バルブ、
本体に燃料タンク内の圧を逃がすリリーフバルブが組み込まれていたりします。いずれもとても大事な役目を果たしており
始動不良だけでなく、走行に支障をきたす事も有りますので修理書でよく確認しておく必要があります。

Home top