fsa560で捕らえたメルセデス点火異常波形。104エンジン、ダブルファンクション点火
6気筒エンジンの2気筒死んでもへっちゃらと思う人はいないでしょうけど、かなり危険な状態であると認識してる方は少ないかもしれませんね。点火ミスによって生ガスが触媒に流れると温度上昇が進み真っ赤に焼けてきます。走行にはかなり危険な状態です。
最近はミスファイアーを感知してインジェクターを止める物も出てきましたがミスファイアーの検出がイマイチでコンピュータ−も当てになりません。
それなら人が調べようと思ってもエンジンをカバーが覆っていて思うように行きません。
今回のメルセデスもそんな状況で持ち込まれました。
C-280 E-202028 104エンジン (ダブルカム6気筒)
エンジンコントロールコンピューター VDO
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点火一次波形を表していますが点火順序に注意してください。1番をトリガーにすると同期が取れなくなり5番をトリガーにしています。(1番の位置に5番が来ています。)つまり1番が点火していないんですね。 よく見ると点火は全くしてない訳でもないことが解ります。(1と6が異常) エンジンは振っていていますがインジェクターからの噴射は全気筒ありました。 この異常波形の原因を探ります。 |
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メルセデスでよくあるワイヤーハーネスの短絡は調べましたが異常ありませんでした。 クランク角センサーやカムポジションセンサーの波形も異常ありません。 左の波形はカムポジションセンサーと一次波形の対比です。 トリガーの掛ける位置で左から5−3−6−2−4−1 となっています。 |
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最初の波形をよく見てみると1と6の点火時期が他の物と違っています。 そこで一次電流を遮断する瞬間を見てみる事にしました。 左は異常のある6番です。(上が電流波形です。) 下の正常な波形と比べると一目瞭然。電流の遮断がうまくできていません。 スパッと切れていませんね。 |
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正常であればパワートランジスターのベース電流が遮断された瞬間にコイルに強い逆気電流が流れますが、流れを緩やかに止めた場合、上のように強い逆気電流が得られずプラグの電極で火花を飛ばす事ができないのでしょう。 パワートランジスターを始め点火コントロールはエンジンコントロールコンピューターと共通です。 コンピューターを開けてパワトラ不良かどうかは私の技術ではできませんのでコンピューター不良と伝えて終了としました。 コンピューターを交換して直ったと報告を受けています。 |
少し前のメルセデスは点火コントロールコンピューターとエンジンコントロールコンピューターを分けていたんですがコストの加減か一緒になってしまいました。ワイヤーハーネスも質の悪い物のようです。熱の影響か被覆がぼろぼろになりショートしてパワートランジスターをパンクさせるようです。6気筒、4気筒共に見られました。