休日の山歩き75 鹿倉山 Shishikurayama

[奥多摩]鹿倉山1288m
 2022
425日(月)

【平日の山歩きへ】
この数年間、単独登山を自粛してきたが、その制約もようやく解けた。久しぶりの山歩き、どこに行こうか考えて、以前から、鷹ノ巣山の山頂からの展望で、白い仏舎利塔のある山が気になっていたので、そこへ行ってみることにした。

仏舎利塔のあるのは大寺山(おおでらやま)(950m)で、鹿倉山(ししくらやま)(1288m)と連なる稜線を歩くことになる。東京都奥多摩町と山梨県丹波山村・小菅村にまたがり、多摩川(丹波川)南岸だ。
大型連休前の平日、天気予報は晴れだ。

鷹ノ巣山の山頂から南側の展望(2014年11月3日)
休日の山歩き66 鷹ノ巣山 

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【行程】
車で自宅
6:12発⇒青梅街道⇒丹波山村・道の駅たばやま7:59着(車を駐車)

西東京バス・奥多摩駅行き 丹波山温泉バス停8:22乗車⇒深山橋バス停8:43下車

深山橋登山口8:55発→大寺山・仏舎利塔(昼食)10:2011:12→鹿倉山13:1013:35→大丹波峠14:3314:40→道の駅たばやま16:00着(のめこい湯に入浴)

道の駅たばやま17:37発⇒青梅街道(青梅市内で1時間休憩)⇒自宅着20:35

【コースタイム】
深山橋→1:300:50←大寺山→1:451:30←鹿倉山→1:101:20←大丹波峠→0:501:15←丹波山村役場

【丹波山村へ】
月曜日、朝
6時、車で自宅を出るのが少し遅く、カーナビの到着予想では目標の時間にぎりぎりだ。
計画では、まず丹波山村に行き、道の駅に車を置き、そこからバス(奥多摩駅行き)で登山口の深山橋まで移動し、大寺山・鹿倉山と歩く。もし目標のバスを逃したら、丹波山村を登山口とし、鹿倉山・大寺山と歩き、下山口の深山橋でバス(丹波行き)を待つことにする。いずれにしても、バスの便数は少ない(平日3往復のみ、休日なら6往復)。
そう考えながら運転すると、車は青梅市内を過ぎた頃からカーナビの予想を上回るスピードで快走し、丹波山村に着いた
8時には、バス時刻まで10分以上の余裕ができていた。
道の駅たばやまのバス停が、「丹波山温泉」だ。

バスの乗客は私を含め23人、ワンマンバスのアナウンスは都県境の鴨沢までは丹波山村の観光案内もしてくれる。約20分のバス旅で深山橋で下車。今日はバスで移動したこの区間分の山歩きをすることになる。
深山橋のバス停は、小菅村から来る路線との合流点になっており、小菅の方向に向かって、緑色に塗られた深山橋で多摩川(奥多摩湖)を渡る。辺りの山々は、常緑樹の濃い緑と広葉樹の新緑がモザイクになっていておもしろい。

【深山橋から大寺山へ】
橋のたもとに建つ陣屋旅館の脇
が鹿倉山・大寺山への登山口だ。

樹林帯に入り、いきなりの急斜面だ。そして、さっそく道に迷ってしまった。次第に道が細く、傾斜が緩く、落ち葉の踏み跡も固まってないなど変化していたのに、気づくのが遅れた。しかもまた登山道に出会うだろうとそのまま進んだ。そのため元の道に戻るまで10分余のロスとなった。久しぶりの登山で、感覚が鈍っていたようだ。それにしても、今回はスマートフォンでGPSログを取っていたので、それを見ると、登山道から外れていること、戻るべき方向も一目瞭然に分かる。大変便利になったものだ。

道は次第に尾根筋になり、急登と小ピークを繰り返しながら、快適に高度を上げていく。最初のピークはこんな様子。

木の根っこや岩でゴロゴロした所でピークの左を巻くので、ピークはどうなっているか急に気になり、戻ってみると、小さな祠があった。

次の急登で仏舎利塔のある大寺山に着いた。広い山頂だ。この塔は高さ36メートルで、立正安国・世界平和を祈念して昭和49年(1974)に建立されたとある。


塔の周りを一回りするが、木立で展望がきかず、わずかに東側に奥多摩湖の湖面の断片や御前山が見える程度だ。

日差しの下、他に誰も来ない静かな空間を独り占めして昼食を取る。
この山頂からは小菅村に車道が通じている。木の幹に950mを示す標識。

大寺山山頂の桜と、鹿倉山への道のツツジ

【大寺山から鹿倉山へ】
鹿倉山に向け出発。緩やかなアップダウンで次第に高度を上げていく。大寺山を発って10分位の所に鴨沢方面への分岐があった。同じく
20分位の所で鹿倉山方向から歩いてきた人と出会った。双方とも、今日登山者と出会うのはこれが初めてと挨拶した。
既に山梨県に入っている。この稜線は丹波川と小菅川の分水嶺だが、どちらも奥多摩湖になり、東京都民の水源地だ。

コースは、ピークの左側(南側)を巻くことが多い。1071mピークもそうなっており、平坦に近いピークなのでどうなっているのかと右方向に行ってみたが、変わったことはなかった。
と、ここまでは余裕があったが、その先の急坂を登ると脚がつってしまい、休み休みしながら登った。運動不足のたたりだ。1178mピークには、鹿倉山まで約30分の標識があり、ここでも座り込んで休んだ。

やがて道が稜線の右を通るようになり、かつ道幅が広くなった。林業の作業道らしい。
次に、北側斜面が広く伐採され金網が張られ、展望のある場所に来た。雲取山や鷹ノ巣山など、石尾根の山が一望だ。少し場所を変えると奥多摩湖と御前山、さらに三頭山まで視野に入ってくる。




さらに進むと、道の左側で大規模な伐採が行われている。水源管理のための新しい作業道を作っていると表示があった。
鹿倉山の山頂に近づいてきた。歩いてきた作業道は山頂の右を巻いているらしく、左の樹間に入るよう指示がある。

そして鹿倉山の山頂に着いた。木立に囲まれた広場で、やわらかい日差しの中だが、残念なことに木々に囲まれ周りの展望が全くない。3等三角点がある。指導標は大寺山の向きがあらぬ方向を向いていたので直しておいた。


【丹波へ下山】
丹波を目指して下山にかかると、道はすぐにまた林業の作業道に合流し、そのままずっとこの道を緩やかに下る。歩き易いが味気ない。こちらからの登山者あてに、本来の登山道を「遊歩道」として案内する分岐もあった。
右手の木立越しに飛龍山と思しき山が見えた。

広い作業道を下るうち、分岐になった。まっすぐ下る道のほか、ヘアピンに右折して下る道もある。今下ってきた方向を指して鹿倉山へと案内する指導標があるが、丹波への方向を示すものがなく、どちらに行くのか分からない。ここで、またGPSログに登場願い、直進と判断する。
すると
1分も経たないうちにまた鹿倉山への指導標があり、ここでは左前方へ本来の登山道に入ることを案内している(上りならヘアピンに右折することになる)。
この2つの指導標は、ちょうど鹿倉山として逆方向を指しているが、経年が同じように見えるので、ここではしばらく前から、旧登山道と作業道のどちらからでも山頂に行けるようになっていたようだ(作業道と登山道の上部の合流点には気づかなかった)。

道はなおも大丹波峠を目指して下る。峠を目指すのは登りではないのか、釈然としない。しかし大丹波峠に下り着いて、腑に落ちた。丹波山村と小菅村、2つの村を結ぶ大切な道の峠だったのだ。


ここで想定外のことが起きた。丹波に下る道が「登山道崩落の為この先通行止め」になっているのだ。最新情報を収集せず来てしまった。小菅に下って深山橋を回って丹波に戻るか・・・。

丹波山村役場に電話し、担当者に事情を伝えると、2年前の台風で登山道が荒れたので通行止めにしたが、自己責任で通っている人もいるとのこと。そうすることにした。
植林された斜面をジグザグに下り、沢沿いになる。沢を対岸に渡る区間もあり、壊れた木橋や倒木など、確かに道が荒れている。折れそうな木橋は敬遠して石伝いに沢を渡る。最後に沢が堰堤になり、ここも折れそうな丸木橋の右を高巻き、堰堤先で落ち葉が積もった急斜面になり滑り落ち、ボトルの水で手の泥を洗い、どうにか「登山道崩落のため通行止め」の表示までたどり着いた。


ワサビ田と犬小屋の脇を通らせてもらい、まり子川を渡り、ようやく車道に出た。結局、山中で出会ったのは1人だけだった。
あとはのどかな山村風景の中、農作業をする人々のそばを歩く。丹波川を渡り、道の駅の駐車場に着いた。のめこい湯で汗を流し、「丹波山村の名水 雲取のしずく」を飲み干す。

車で帰路に就いたが、疲れが出て、青梅市内のコンビニの駐車場で休憩する間にも両脚がつってしまい、車中で七転八倒した。



新型コロナウイルスの流行が3年目に入ったが、第6波の感染拡大が少し落ち着き、全国的に緊急措置無しで大型連休を迎えようとしている時期で、山歩きにも安心感があった。

大丹波峠・丹波山間の通行止めについてであるが、冷静に考えれば、現在の丹波山村・小菅村間の主要交通路は県道上野原丹波山線の今川峠である。大丹波峠から小菅側に少し下って県道に出合い、県道の峠を歩いて丹波山側に越えれば、不確実なバス時刻にとらわれず、通行止めの危険を犯すこともなく、多少の遠回りで安全に下山できたはずである。現場で咄嗟にこのような判断ができなかったことは、反省すべきである。

【参考資料】 山と高原地図「奥多摩」2009年版

                                  2022/05/11整理