上越・タカマタギ 大滑沢白板スラブ


2003.5.25 永瀬、吉越、執行、佐々木、久保田、冷水

 上越のタカマタギ(1529m)といえば、すぐ南隣の日白山(1631m)とともに谷川連峰周辺の不遇な山だったが、今ではどちらも春山の定番となってしまった感がある(いまだ登りそこねている)。それでもタカマタギの懐に抱かれた「白板スラブ」を訪れる人はまれだ。クライマーから見向きもされない分、山菜・キノコ山行と組み合わせればおじさん達の格好の遊び場となるだろう。

 5月25日(晴れ時々曇り) 前日のお祭りには出られず、2日目の山行のみ参加した。朝一番の新幹線(大宮6:34発)を越後湯沢で下り、すぐタクシーに乗る。おしゃべり運転手が「今年は暑さが急にやってきてさー、山の上部まで山菜が一気に出てしまい、下から順繰りに採っていく山菜取りは困ってるよ」とぺちゃまくる。とか言ってるうちに毛渡橋を渡ってしまったじゃないか。振り向けば白板スラブがチラリと見え去った。

 そのまま土樽駅の方に向かうので、たまらず「ちょっと、仙ノ倉谷はこっちじゃないよ」とストップをかける。それでも運ちゃん、「いや確かこちらから行けるはずです」と自信満々。

 「あーれ、やっぱり万太郎谷に来てる」と言っても、まだ戻ろうとしない。とうとう「谷川新道入口」の道標に出くわして、やっと「あー、茂倉のほうじゃないのね。こっちはよく来るんだけど。メーターおろしとくよ」だと。

 でも、この無駄足のおかげでバッキガ平からの本隊5人と、ちょうど大滑沢を少し過ぎたところで合流。歩いて戻る距離も少しで済んで、まずはめでたしか。本隊は昨晩、11種類の山菜の天ぷらとおひたし三昧だったという。

 出合に不要な荷物をデポして大滑沢に入る。ヤブに覆われたぱっとしない沢で、途中5mの滝があり左から巻く。冷水さんはヤマウド穫りに余念がない。

 約1時間で目の前が開けると大きな雪渓が現れ、右岸に白板のスラブが展開する。ちょうど左手上部のヤブからひょっこりと山菜取りが現れた。大滑沢上部を望むと細い雪渓がタカマタギにせり上がっている。

 スラブはヤブ尾根をはさんで左右に分かれている。左は傾斜がやや強いが草付きが目立つ。足回りは渓流シューズなので、比較的傾斜が緩くて幅広い右スラブに取り付く。下部三分の一には不安定な雪渓がかかり、スラブ中央から水流が滑るように落ちている。

 2人ずつザイルを組んで登る。雪渓右のブッシュ混じりから雪渓が脚下になるまで易しい数ピッチ。ここが実質的なスタート地点だろう。このスラブはハーケンを打てる良いリスが少ないのが難点で、渓流シューズだと乾いたスラブではハンディがある。

 自分だけフラットソールを持ってきたので履き替えてみるとフリクション抜群。ただハーケンも効かないのでは仕方なく、今回はビレーのとれる右端のブッシュ混じりを登る。永瀬・執行組は途中でスラブ中央にトラバースしていった。

 最初は灰色っぽく見えたスラブも、陽があたって白く開放的な眺めとなった。見下ろすと水流右沿いに登るより、左の中尾根上部へ向け登る方が楽しそうだ。数ピッチ登り、これ以上登ると藪こぎになるという手前で、時間も時間なので懸垂下降して戻る。永瀬パーティーは中尾根の裾を周遊して下りてきた。

 出合に戻り、ジャンボタクシーを呼んで越後湯沢へ。フラットソールだとそれほど本気にならなくても登れそうなので、今度は紅葉の時期にでもキノコ狩りを兼ねて遊びにきてもいいなと思った。

 【写真上】 ブッシュに助けられて登る

 【写真中】 スラブを周遊するNパーティー

 【写真下】 懸垂下降で戻る

 【コースタイム】 (5/25)大滑沢出合8:30 雪渓末端9:35 白板スラブ末端10:00 終了(到達)地点13:45 雪渓末端14:35〜15:00 大滑沢出合15:50


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