南アルプス仙丈岳


1978.12.30〜1979.1.1 佐々木、小野
 12月30日(晴れ) 戸台のバス停から戸台川に沿って歩き始める。河原は一面の雪で、年末としては多雪の方だろう。今冬は太平洋側の雪が多いらしい。5台の臨時バスで来た登山者に次第に追いつき、ダムのあたりから抜き始める。鋸岳が薄く雪化粧して美しい。上部は風が強いようで雪煙が上がっている。駒津峰も行く手左に望まれるが、甲斐駒ヶ岳は戸台川本谷の奥にガスに包まれたままだった。丹渓荘の手前の日溜まりで昼飯。ここからはるかに望む仙丈岳が圧倒的な高さだ。山荘前で入山届と提出する。

 沢を渡り、再び渡り返すと八丁坂の急登となる。思ったより歩きづらくなく、つづら折の登りやすい坂で苦もなく登り切る。今年のように雪が多いとアイゼンは必要なく、キュッ、キュッと雪を鳴らして歩くのは気持がいい。一旦平らとなり少し登ると大平小屋だった。スーパー林道がここまで延びてきていた。北沢峠はここからわずかに登ったところで、深々とした樹林に覆われ峠という感じがしない。北沢側にわずかに下った樹林中に幕を張る。日が射さずさすがに寒い。積雪は30〜50センチといったところか。夜、小屋のあんちゃんがサイト料(1人200円)をとりたてにきた。有名どころの山はこれだから嫌だ。

仙丈岳 12月31日(快晴) 昨夜は非常に寒かった。羽毛のシュラフでもビシビシ寒気を感じた。夜明け前に出発し、尾根通しのトレースに入る。急登のぶん高度をどんどん稼いでいくと、駒が次第にせり上がってくる。東側の空が明るくなって富士山も見えてきた。北岳のピラミッドが天を突いている。木立の間ながら山々の展望がうれしい。日が射すとこんどは汗ばむほどになる。上部は風が強いのでヤッケは脱げない。森林限界で休憩し、小仙丈への急で広い斜面を一望する。やはり風は強く、目出帽を下ろしヤッケのフードもかぶる。

 小仙丈を登り切ると、小仙丈カールを抱えた仙丈岳が大きい(写真)。細くなった稜線を足下に注意しながらアイゼンを効かせて進む。藪沢カールを巻く手前の登り基部で、早くも腹がすいたので軽く口に入れる。最後は小ピークをカール側にトラバースしていく。頂上は先客で一杯だった。ちょうど風も弱まり、しばらくは頂上下のくぼみで日向ぼっこを決め込む。中央アルプスの白い連嶺が輝いている。南部のジャイアンツも折り重なって光っている。四囲の山々をカメラに収めるのに忙しい。帰りは早かった。登りは4時間だが、1時間40分で着いてしまった。小野は、どうしても元旦に鹿沢の山小屋に行きたいというのというので、丹渓荘あたりまで今日中に下りることにした。丹渓荘とダムの中間あたりまで下りテントを張る。きのうから100人くらいは入山しただろう。大晦日の夜をラジオを聴き、酒を飲み、ラーメンを食って、結局ほとんど夜を明かしてしまう。

 1月1日(晴れ) きのう頑張ったおかげで1時間半であっさりと戸台に着く。7時20分発のバスに間に合った。

 【コースタイム】 (12/30)戸台7:50 丹渓荘10:10〜50 大平小屋12:40〜55 北沢峠13:15〜(12/31)6:10発 森林限界8:20〜30 小仙丈岳9:00〜10 仙丈岳10:25〜11:00 森林限界11:25〜55 北沢峠12:40〜14:40 丹渓荘16:05 ダム手前16:35〜(1/1)5:55発 戸台7:20

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