足尾庚申山〜皇海山〜松木川


1973.10.14〜15 山田、佐々木
 10月14日(晴れ時々曇り) 前夜は無人の足尾線原向駅待合室に泊まる。7時50分出発し、土砂を積んだトラックに悩まされながら歩く。銀山平までは休日に限って通洞からバスが出るという。国民宿舎かじか荘に計画書を提出したあと、庚申渓谷に沿ってさらに進む。山々はますます紅く彩られ、歩いていてあきない。

 10時45分、庚申山登山口(一の鳥居)に着く。林の中の良く整備された登山道を1時間も登るとちょっとした広場に出た。ここが庚申神社本殿跡らしい。宇都宮大WVの嶺峰山荘からわずかで樹林が切れ、切り立つ岩壁を背景に建つ庚申山荘を見る。鎖やはしごの架かる岩場を注意しながら縫っていくと、ようやく庚申山(1892m)山頂だ。14時50分着。

 待望の皇海山(2143m)は樹林にさえぎられて見えない。少し下ったところでサイトすることに決め、さらに見晴らしのいい場所まで行ってみた。すでに日が暮れかかっていたが、紅葉に包まれたドーム型の皇海山が望まれる。東側に一気に数百mも落ち込む姿は、日本100名山にふさわしい風格を備えていた。夜は鹿の哀しげな鳴き声が山々にこだました。

 10月15日(晴れ時々曇り)  5時10分に出発。皇海山展望台で日の出を待っていると、昨日は見えなかった男体山がはるか遠くに見えた。鋸尾根のアップダウンは思ったよりきつそうだ。朝日に染まる皇海山を樹間から眺めながら、十一峰越えといわれる小ピークの登降を繰り返していく。途中、鎖場があり風倒木にも悩まされ時間を食う。7時30分、鋸山(1998m)着。皇海山が目前に大きく迫る。クマザサ、倒木が道をはばみ、踏み跡が定かでない部分もあって最後まで苦しい。9時25分、念願の皇海山頂上に着く。

 樹林に覆われた頂上は展望はあまり得られない。南面が少し開けておりギザギザの鋸尾根が見える。帰りは六林班峠経由という計画を変更して県界尾根を北上し、国境平から松木川に下ろうということになる。少し小雪が舞い始め肌寒い。県界尾根の踏み跡は不明瞭でプレートやナタ目を頼りに下る。国境平からは急斜面を一気に駆け下りるとニゴリ沢。松木川は途中まで道がなく徒渉を繰り返していくが、河原が広いので問題ない。

 下っていくに従って両岸の山々は、草木の一本もない灰色の地肌を見せて痛々しい。昨日出会った人は鉱毒(亜硫酸ガス)のせいだといっていたが、にわかには信じがたい光景だった。その鉱毒を排出してきた足尾銅山は、まもなく閉山することが最近決まったという。灯りがなお操業中の製錬所を右手に見やると、赤倉のバス停は近かった。17時45分着。バスで通洞駅に出て、桐生、小山を経て帰京。

 【コースタイム】 (10/14)原向7:50 かじか荘9:30〜45 一の鳥居(登山口)10:45〜11:55 UWV嶺峰山荘13:05〜20 庚申山14:50〜15:15 山頂直下15:16〜(10/15)5:15発 駒掛山5:55〜6:05 薬師岳6:40〜50 剣山7:20〜35 皇海山9:25〜10:00 国境平11:25〜45 ニゴリ沢12:15〜30 三川ダム17:10〜20 赤倉17:45

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