那須・朝日岳〜三斗小屋〜茶臼岳


1989.2.18〜19 荻原、阿部、伊藤、北島、佐々木、鈴木、武、中里、三ツ谷

 2月18日(雪) 折からの雨が、電車が宇都宮を過ぎる頃には雪に変わった。雨の中を登るものと覚悟していただけにホッとする。黒磯から乗ったタクシーを大丸で下り、ヘルメットをかぶった山岳指導員のおじさんから山の状況を聞く。三斗小屋に1泊すると話すと、「オレならもったいなくて金をもらっても行かない」という。それほど三斗小屋温泉はいいところだと言いたいらしい。

 10時5分、新雪の積もった夏道を登り始める。気温は高く膝下のラッセルでもすぐ汗ばむ。峰の茶屋付近の風はそれほど強くない。近年、雪崩事故が起きた剣が峰のトラバースで、先行パーティーが間違って上に登りすぎたらしく、こちらに合図している。阿部氏がトップで正規ルートをトラバースしていく。新雪が20〜30センチあり、「雪崩がこわいね」と各々慎重になる。

 稜線鞍部に出てからは左にからんでいくが、吹雪で視界がよくない。通常なら雪は飛ばされてガラガラだというのに、雪が詰まってペンキ印も見つけにくく、鎖場では雪に埋まった鎖をかき出さなければならない。下り気味にトラバースしていき、少し急登すると朝日岳頂上への分岐に出た。空身で頂上をピストンするが展望は得られず早々に戻る。14時を過ぎているし風雪は強くなり、隠居倉の下降はあきらめて往路を戻り、峰の茶屋経由で三斗小屋に向かうことにする。

 峰の茶屋に戻ると、伊藤さんと三谷さんのザックカバーが吹き飛ばされてしまうほどの強風に見舞われたが、避難小屋まで下りたらウソのように穏やかとなった。スキートレースが三斗小屋に向かって続いている。小屋を行き来するだけなら山スキーを利用する方が良さそうだ。

 三斗小屋温泉に2軒ある小屋のうち煙草屋では、数年前に殺人事件があったので休業中のまま。我々の泊まる大黒屋は、ひなびた山の湯宿といった雰囲気がいい。こたつ、石油ストーブのある部屋で布団で寝られる。しかも温泉付きで、食事は従業員がていねいに運んでくれる。1泊ではもったいないというのは分かるが、しょっちゅう「冬山観光登山」をしたいとは思わない。

 2月19日(晴れ) 昨日とうってかわって青空が広がった。峰の茶屋へのトレースを戻るのでピッチが上がる。延命水を過ぎると、噴煙を上げる茶臼岳が見えた。避難小屋からは下る予定だった隠居倉が見渡せる。地図で想像するよりもずっと大きな尾根だ。峰の茶屋から空身で茶臼岳をピストン。「茶臼では地面から10センチも浮いて氷が張っている」と武さんが言っていたが、今年はそれほどでもないようだ。

 頂上はさすがに風が冷たい。昨日登った朝日岳の向こうに三本槍ケ岳が真っ白で魅力的。残念ながら一番楽しみにしていた大倉山、三倉山方面はガスに包まれている。やはり向こうは会津の山だなと思う。南望すると高原山の右に、日光の山々が見えた。昨日同宿したスキー持参の人達が大丸への下りで滑っていたが、あまり快適ではなさそうだ。

 【コースタイム】 (2/18)大丸10:05 峰の茶屋12:20〜25 朝日岳14:10 避難小屋15:20〜30 三斗小屋温泉(大黒屋)16:40〜(2/19)8:15発 延命水8:45〜50 峰の茶屋10:05〜10 茶臼岳10:55〜11:00 峰の茶屋11:24〜40 大丸12:40


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