富士山(吉田大沢直登)



1990.11.23〜24 佐々木、吉田(寛)

 パミール山行を8カ月後に控え、そろそろトレーニングでもということで、初めて富士山に登った。7合目以上はアイゼンワークにもってこいの雪質で、快適な吉田大沢の登下降を楽しんだ。

 11月23日(晴れ時々曇り) 登山口の富士吉田で電車を降りかけたが、河口湖駅まで行き、5合目行きの臨時バスに乗る。通常は11月上旬までなのだが、降雪がなければこの時期でも運行するのだという。5合目の風はさすがに冷たい。6合目の登山指導センター周辺で幕場を探すが、ほかの登山者は上を目指して登っていく。下に見える車道にいくつかのテントが見える。佐藤小屋付近まで下るのもいやだし、この辺は雪もまだないのでもっと上に行くことにする。何しろ富士山は初めてなのでよくわからん。

9合目を目指して 7合目付近の二つ目の小屋脇の平坦地に電機大山岳部のテントと、この場をキープしたらしいザックがある。上部の小屋も見た上で、この場しか幕場はないと決定。電大の隣にエスパースを張る。後で置いてあったザックの主と単独のオジさんがテントを張り、猫の額のようなところにテントがひしめきあう形となった。夜はそれほど冷え込みはなく、下界の灯りがまばたいていた。

 11月24日(快晴) 風もなく絶好のトレーニング日和。小屋の上からすぐ右手の吉田大沢に入る。すでに雪訓している人達や滑落防止用ロープを張っている人などがいる。条件がいいので迷わず吉田大沢を直登することにした。アイゼンが快適に効いて小気味いい。屏風尾根に取り付く単独の人が見える。雪訓の人々がどんどん足下に小さくなる。

屏風尾根を見ながら 9合目が近づくとさすがに息が切れてきた。少し風もでてきたが、心配ないだろう。段になった部分で小休止。すぐそこに見えた稜線はまだまだ上でがっくりする。先行者も苦しいらしくなかなか歩が遅い。単独の人が追い越していき、屏風尾根の縁をあえてルートにとってトレーニングしているようだ。斜度はきつくなるが、堅雪でないのが救いだ。やっとこさで稜線に出て白山岳に到着。

 幸いにも頭痛など高度障害は出ていないので安心する。周囲の展望を存分に楽しむ。今年も寡雪なのか、八ヶ岳はまだ黒々としてほとんど雪はなさそうだ。最高峰・剣ヶ峰までは遠いので割愛する。金明水の窓からのぞいた吉田大沢はそれほど斜度を感じない。「下っちゃおうか」の一言で決定。ヒーヒー言った登りも、下りは楽勝。アイゼンワークのいいトレーニングだ。8合目あたりまで下るといい加減あきあきしてくる。今日のような好条件だと、一般道のごつごつしたところを下る方がよほど緊張するのではないか。耐風姿勢の練習をしながら登ってくる学生パーティーは、今日は頂上ビバークといっていた。

 下山は佐藤小屋を経て表登山道を富士吉田まで歩いて下ったが、ごみだらけでバイクにえぐられた道は不快きわまりない。つくづく、この道を登らなくて良かったと思った。

 【コースタイム】 (11/23)吉田口5合目11:00 6合目登山指導センター11:25〜45 7合目上(2720m)12:30〜(11/24)6:50発 吉田大沢9合目9:25〜30 白山岳10:15〜45 幕場11:55〜12:35 佐藤小屋13:15〜30 馬返14:50〜15:00 富士吉田駅17:10



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