北ア・後立山連峰・爺岳南尾根〜鹿島槍ヶ岳


1976.3.8〜11 佐々木、日比野、高野、郷田、小倉

 3月8日(晴れ) 今冬は記録的な寡雪で大町駅前は積雪ゼロ。駅のストーブで暖をとっていると、タクシー運転手の誘いで話がまとまる。4月下旬頃の状態だということで、爺岳南尾根取り付きまで入ってもらった。このところ降雪がなく南尾根は地肌が出ているところもあり、途中でアイゼンをぬいでしまった。ツボ足で十分登れる。急登の連続と腐った雪で辛くなりかけたころ、予定通りジャンクション・ピーク(2,320m)に着く。深雪だとかなりつらい登りとなるだろう。少し進んで幕を張る。

鹿島槍をバックに 3月9日(晴れのち小雪) 爺岳南尾根の急登をアイゼン効かせて登る。振り返ると針ノ木岳がすばらしく、槍方面も見えてきた。頂上へ出るとさすがに黒部側からの吹き上げが強い。鹿島槍が、なかなか重量感のある均整のとれた姿を見せた。冷池小屋へ向けて夏道通りトラバース気味に行く。アイゼンの感触が心地よい。冬姿の真っ白い雷鳥が、グェーグェーとガマガエルのような鳴き声を出している。

 雲が多くなってきて、まず剱、立山方面を隠し始めた。後立山連峰の天候変化は、立山方面が先行するので目安になる。冷池小屋では雪の吹き込んだ冬期小屋内にテントを張る。まだ11時前。天候は比較的安定しているし、時間はたっぷりあるが鹿島槍ピストンは明日にまわし、午後は近くの斜面でロープワークなど雪訓に使う。小雪が舞う中、五龍岳から縦走してきたG登攀クラブの2人が小屋に入ってきた。

 3月10日(高曇りのち雪) サブザック装備で鹿島槍へ向かう。布引岳付近からガスが上がってきた。クラストした急斜面を慎重に登って南峰に着く。北峰をトラバースしていく登山者が見える。雲行きがあやしいのでさっさと戻ることにする。赤岩尾根を下るG登攀クラブの2人は、アンザイレンして慎重にトラバースしているところだった。小屋に戻ってみると、彼らがペミカンを残していってくれた。なかなか凝った材料を使って栄養満点で、晩飯は豪華になった。

 3月11日(快晴) 新雪で、雲海に浮かぶ山々は荘厳な眺めとなった。爺岳南尾根を下り始めると、オーバーヤッケを脱ぎたくなるほど暑い。ジャンクション直下で登ってきた単独行者と会った。ひたすら下り続け、扇沢ターミナルまで行ってタクシーを頼んだが、ちょっと無理と断られ、仕方なくホテル・クロヨンまで1時間半ほど歩き定期バスに乗った。(写真=鹿島槍をバックに爺岳へ)

 【コースタイム】 (3/8)扇沢出合8:05 ジャンクション14:30〜40 ジャンクション先14:50〜(3/9)6:00発 爺岳南峰7:45〜8:00 冷池小屋10:15〜(3/10)6:55発 布引岳7:42〜55 鹿島槍ガ岳(南峰)8:35〜55 冷池小屋12:35〜(3/11)7:00発 爺岳主峰8:40〜45 南峰9:00〜20 ジャンクション10:30〜11:30 扇沢出合14:00〜15:40 ホテル・クロヨン17:00


HOMEへ戻る