谷川岳・一ノ倉沢烏帽子沢奥壁凹状岩壁ルート


1991.9.16 吉田(寛)、佐々木、森廣

 15日夕、吉田君と2人で一ノ倉沢出合にツエルトを張り、酒をちびりちびりと飲みながら森広女史を待つ。夜7時半頃、彼女がヌーッと現れて酒宴も盛り上がる。雨は止まず、明日はダメかなと思いつつ就寝。

 9月16日(雨のち曇り、時々晴れ) 霧雨の中、出かける他パーティーにせかされるように、取り付きまででも行ってみようということになる。次々と先行パーティーを追い越し、本谷への下降も懸垂せず20mのクライムダウン。一気に目が覚める。テールリッジに取り付く頃には一番乗りに。すぐ後ろのパーティーの1人が、テールリッジ末端で岩がはがれたため轟音とともに10mほど滑落したが、無事だったようだ。中央稜基部で様子を見、ダイレクトカンテを登ろうかという話もでたが、当初計画通り、烏帽子の凹状岩壁ルートを登ることにする。雨は止んできたものの岩は濡れ、滝状になってシャワーが降り注いでいる。

 吉田トップでザイルを延ばす。他のルートには、中央稜に1パーティーと南稜に2パーティーだけで、烏帽子奥壁は我々のみ。1P目バンドをトラバース後ルンゼ状スラブ直上、2P目スラブ直上、3P目草付と岩のコンタクトライン、4P目核心部の凹状を直上し、途中で左フェースに移り直上。この核心部はやはり緊張するところだった。5P目チムニー状の凹角を直上し、トラバースしてリッジに上がる。凹状上のカンテ部分から落石に見舞われヒヤッとする。続いて鈍い雷鳴のような響きで本谷雪渓が崩壊した。トラバースでは浮き石をつかみバランスを失いかけた。このあとは傾斜が落ち、6P目快適なリッジから草付へ、7P目灌木帯からスラブ、クラック、8P目階段状10mで終了。

 予定ではコップ状岩壁緑ルートへ継続だが、内心、暗闇の懸垂下降などしたくないので北稜を下ることにした。出合へ戻り、冷やしておいたビールでのどをうるおした。

 【コースタイム】 (9/16)一ノ倉沢出合5:20 凹状岩壁ルート取付6:35〜7:00 終了点10:05〜30 衝立岩北稜基部12:00 本谷13:15 一ノ倉沢出合13:45〜14:10 土合15:00


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