会越・未丈岳〜毛猛山〜黒又三山



1981.5.2〜5 佐々木、永瀬、山野辺、吉越、執行、久保田

 5月8日(晴れのち曇り) 早朝、小出からタクシーで、銀山平までいこうとしたら、「奥只見シルバーラインのゲートは8時まで開かない」という。そのくせ丸山スキー場へ向かうバスはスキー客を乗せてさっさと出発している。何となく理不尽さを感じながら、日も高くなってきてやっとマイクロバスに他の登山者と相乗りする。

 一面の残雪の銀山平はまぶしい。荒沢岳への尾根に取りついているパーティーのかけ声が聞こえる。さて、どこから取りつこうかと沢筋を観察する。白光岩の右、日向倉沢の一本西隣がよさそうだということで、銀山湖に注ぐ北ノ又川左岸沿いに、この沢に入る。沢はびっしり雪がつまり、案外早く稜線にでられそうだ。もう9時を過ぎているので暑く、フーフー言っては振り返り、荒沢岳や越後駒に見入る。特に正面から見ている荒沢岳のスケール、重量感は、さすが越後の穂高の名に恥じない。

 源頭の急斜面に各自あえぎながらたどり着いたところは、雪原状の広い尾根。残雪期とはいえ、かなりヤブがでているものと踏んでいたからうれしくなった。今年の豪雪のせいで、この先もヤブにそれほど苦しまずにすみそうだ。

未丈岳 快適な雪稜をいいペースで日向倉山へ。行く手には、未丈岳が優美なスロープを描いている(写真)。1367m峰までの鞍部付近は雪庇の状態が悪く、若干のヤブこぎ。気持ちのいい1367m峰を過ぎると未丈までの意外と長いダラダラ登りだ。ピークと思って急登した肩の200m先が頂上だった。三ツ又口から来た2パーティーも到着したばかり。頂上北側に幕営することにする。

 5月3日(曇りのち晴れのち雨) いやな感じのする黒雲が近づいている。赤柴沢の源頭を急登すると、先行パーティーに追い付く。大鳥岳周辺は上下差がなく、快適な雪稜歩き。途中、単独行者とすれちがう。三の沢の頭で六十里越から毛猛岳を目指している高野さんパーティーと交信を試みるが応答なし。二の沢の頭からは今までよりヤブが多めになるが、気になるほどではない。わらじの仲間らしい2人パーティーと交差。未丈〜毛猛間はわりと入山者がいるようだ。ぼくらの狙いは、さらにヒト気がない黒又三山と呼ばれる太郎助山、桧岳、百字ケ岳である。毛猛山がますます大きく迫り、百字ケ岳〜桧岳の稜線には一カ所、雪の落ちた急斜面があるのが見える。

 毛猛頂上へは急登の後、直下のヤブが待っている。かなり日差しが強く、焼けた顔や腕がひりひりする。30mもヤブを漕ぐと頂上に飛び出した。交信によると高野パーティーは前毛猛のヤブで苦しんでいるらしい。今日中に合流するのは無理となった。

 13時ごろ、一気にガスられる。枝尾根に引き込まれないように注意しながら下り、中の岳への登り返す途中でサイト。霧雨となる。

 5月4日(曇りのち晴れ) ガスの中を、百字ケ岳へ。中の岳〜百字ケ岳間は毛猛沢側が切れており、南東の斜面のヤブを漕ぐ。百字ケ岳に荷を下ろし、桧岳ピストンに向かう。昨日、例の雪の落ちた急斜面は、桧岳ピストンの難所となっていた。雪はすっかり落ち、灌木、シャクナゲにぶら下がるように50mほど急降下する。「大下り」とか「猿下り」とか勝手な名称をつける。下り切れば再び雪のベットリついたヤブの一本もでていないない雪稜となる。南側が緩傾斜、桧沢側がスッパリ切れ落ちている。

 最低鞍部からはニセピークに惑わされつつ、ダラダラ登りの末、雪庇のズタスタ切れた状態の桧岳頂上に到着した。久恋の山にやっと立つことができ感慨無量。「1976年、大岳沢より36時間」と読み取れるメモの入ったビンをみつける。先人の記録に頭が下がる。一時は越後駒のピークが頭を出すくらい、ガスが流れたが束の間だった。

 百字ケ岳で交信の結果、高野パーティーは毛猛にやっと着いたという。太郎助山で合流することにして出発する。予想よりも早く12時前に高野隊が到着した。ガスが流れたときに見えた桧岳は惚れ惚れするような雄姿だった。

 太郎助山の下りは始め残雪を利用できるが、やがてヤブをこぐことになる。天候が回復し、前毛猛方面がよく見える。最後のピーク・足沢山も眺望の良い山だ。眼下に黒又ダムを見下ろす。黒又三山を振り返ると、やはり桧岳が1300m級の山とは思えない出色の山容ですばらしい。山菜とりか猟師が来たらしくゴミがあり、儀式に使ったのか二岐の枝と御神木のような枝が落ちていた。コッタガ山方面に、かすかな切り開きがあるようだ。

 尾根通しに国道を目指すと、ヤブがきつそうなので、足沢山標高尾根900m付近から右手の沢をグリセードで下る。途中、2段15m滝が現われ、左岸を懸垂下降する。あとは小滝が出ているところも簡単に巻き、只見線の線路に出た。線路を歩いて国道に出、道の真ん中にテントを張る。張り終わってのんびりしていると、除雪車がやってきて、あわててテントを撤収するハメになった。

 5月5日(晴れ) 1時間15分歩いて、大白川駅に着く。

 【コースタイム】 (5/2)銀山平8:45 日向倉山11:15〜45 P1376m12:50〜13:05 未丈岳14:15〜(5/3)5:45発 赤柴沢の頭6:45〜7:00 大鳥岳7:40 三の沢の頭7:55〜8:40 P1116m9:37〜55 毛猛山12:40〜13:00 中の岳直下13:25〜(5/4)6:45発 百字ケ岳7:25〜8:00 大下り下8:30〜40 桧岳9:10〜30 百字ケ岳10:30〜45 太郎助山11:12〜12:35 足沢山14:15〜35 只見線線路16:30 林道16:42〜(5/5)6:40発 大白川駅7:55



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