東北・神室山地・花立峠〜花渕山山スキー



1991.2.10〜11 佐々木、執行


 2月10日(曇りのち風雪) 久々の禿岳である。が、天候は下り坂。気象情報は、二つ玉低気圧の接近で山は大荒れなので登山の中止を呼びかけている。夜明け間近の新庄から陸羽東線に乗り換えると、神室連峰八森山が見えてきた。真っ白な連なりに心が高鳴る。「ほら、あれが神室だよ」とs氏に言おうとしたら居眠り中。
 
 鳴子から田野原行バスに乗り込んだのはぼくらだけ。鬼首スキー場行は8:50までなく、待つのも時間がもったいない。スキー場入り口(原台)で下車し、スキー場へ向かう車が絶えない道を歩く。まだ、青空が広がっているが、太陽には大きな日輪がかかっている。午前中もってくれればいいほうだろう。花立峠への林道分岐でシールをつける。新しいツボ足のトレースが続いている。スキー場では早くも騒々しい音楽をがなりたて始めた。禿岳のダイレクト尾根を観察する。すっきりしたヤセ尾根だ。町営牧場に沿った緩やかな斜面から杉林へ入る。左に折れるので、右斜面を直上してショートカット。先行する3人パーティーにすぐ追いつくと学生風で、花立峠までいくという。峠までは意外と長い。チラチラと降り出した雪は、峠に着く頃は吹雪となった。視界も悪く、禿岳ピストンは迷わず中止、花渕山までの縦走に切り替える。

 緩やかな尾根に雪庇が現れ、その左下を進む。雪庇上に上がれそうな低いところがあったが、そのまま進んだら斜面がきつく雪庇も続いているので戻る。雪庇を避け、右手の樹林帯を登る。密度が濃くちょっと登りづらい。994mから立派なブナ林の中を行く。981mの下りは慎重にコンパスで方向を確認した。また尾根が細くなり雪庇に注意する。風雪の中からスキー場の音楽が次第に近づく。小柴山を過ぎてほどなくスキー場のリフト終点に着いた。スキー場は明日通過することにして、すこし戻ってツエルトを張る。夜は低気圧通過の強風がツエルトを叩き続けた。

ブナ林を行く 2月11日(曇りのち晴れ) 5時に起きて外へ出ると星が出ている。冬型の吹き出しまでの擬似好天だろうか。とにかく予定通り、今日は行動できそうだ。スキー場を整地するキャタピラー車が上がってきた。誰もいないスキー場を滑るのは爽快だ。キャタピラー車で整地したあとにシュプールを描いてやった。鞍部でシールを張り直し、登り返す。登りつくと鍋倉山と呼ばれているテレキャビンの終点だった。所々に休憩所があるところをみると、夏道ができたのだろうか。青空も覗くが、神室連峰方面はガスの中だ。ブナ林が本当にきれいなところだ(写真)

 大柴山手前の1100mピークにジャングルジムのような木を組み合わせた展望台がある。大柴山まで雪庇の発達が顕著。樹高の低い大柴山からは気持ちよい尾根が続く。次のピークで大きな枝尾根が南に分かれる。主稜線は北東に続いている。悪天の際は迷うかも知れないのか、赤布も目に付く。シールをつけたまま標高差150mを滑ったあと、ダラダラ登りで1001mピークを越す。緩やかな登下降で労することなく花渕山に着き、少し下るとマイクロウエーブ反射板があった。スキー場のリフト終点まで切り開きをシールのまま快適に滑る。

 花渕スキー場は、標高差600mに3本のリフトが架かる。一番上はコースが細く、ガチガチのコースで横滑りを交えながら下る。スキーヤーの大部分は第二リフトの広い斜面を滑っている。第一リフト上部の壁が難関で39度ある。初心者用回り道はないので、斜滑降で何とか切り抜ける。二人とも登山靴なのでヨレヨレだ。青空が広がって気温が上昇し、スキー場の中に限れば春の陽気となった。タクシーで鳴子の共同浴場「滝の湯」に行き汗を流した。

 【コースタイム】 (2/10)原台8:10 林道入り口8:35〜45 花立峠11:40〜55 P995m14:45〜55 小柴山15:15 鬼首スキー場上15:30〜(2/11)6:30発 鍋倉山7:35〜7:50 大柴山8:35〜50 P1001m9:40〜55 花渕山10:40 花渕ロッジ12:05


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