北アルプス・毛勝三山・猫又山〜釜谷山〜毛勝山


1992.5.2〜3 佐々木、永瀬


猫又谷を見下ろす 5月2日(晴れのち雪) ここ3、4年雪が少ないが、今年はその中でも一番少ないと、魚津から乗ったタクシーの運転手は言っていた。南又発電所まで入れたので、アプローチで1時間半から2時間も稼ぐ。猫又谷はU字谷で広く気持ちがいい。 940m付近でスキーにシールを張る。一直線に稜線へ突き上げており、距離感がない。釜谷を分け、西又に入ると次第に急になり、ギリギリの斜登高とキックターンを繰り返す。

 猫又山の肩に飛び出すと、剱岳が目に飛び込んできた。ガスが上部を隠している。剱沢定着の仲間4人はどうしているのだろうか。猫又山へ向かうと、こちらの雲行きもにわかに怪しくなってきた。頂上に着くやガスに覆われ、みぞれ状の雪が降り出す。ブナクラ乗越からの単独行者が、頂上を確認したあと早々に引き返していった。頂上直下のクボにツエルトを張った後、雷が鳴り出す。ポールに「バシッ」と放電してキモをつぶす。恐ろしくなってシュラフにもぐりこんだ。一晩中、風雪が荒れ狂った。【下写真=猫又谷を見下ろす】

毛勝三山縦走 5月3日(晴れ) 午前7時過ぎ、みるみるうちにガスがはれる。停滞も覚悟したのだが、ラッキーだ。昨晩の雪が(新雪30〜40センチ)シール登下降に程よい状態をつくってくれた。露岩を左から巻いたが、特に悪いところもなく、スキー縦走にはピッタリだ。稜線漫歩の楽しさである。

 釜谷山で周囲の山々に見入る。降雪のおかげで3月ころの山の眺めだ。釜谷山の下りもシールをつけたまま、ススーッと楽に下 る。鞍部で3人パーティーと交差する。彼らはアイゼンをつけてのラッセル。毛勝山手前から毛勝谷を見下ろすことができる。人が登ってくるのを確認できた。

 毛勝山頂上では、「雷に頭をひっぱたかれた」という単独行の人がノロノロと出発準備をしていた。駒ヶ岳、僧ヶ岳へ続く稜線も、この季節は魅力的だ。東又谷大清水沢への源頭は急斜面で、右俣へ向かって斜滑降、キックターンを慎重に繰り返す。今回は登山靴で来たので無理はできない。【毛勝山に向かって快適な縦走】
              
東又谷滑降 右にカーブし、最狭部のノドを通過すると一安心。汗ばむ陽気になった。シュテムターンしなが1220m付近まで滑ると、雪が割れる。

 三階棚滝前後は雪渓がズタズタとなっている。滝は左岸の凹角を登って懸垂下降で下りた。雪渓を拾いながら下り、取水口から林道に上がって片貝山荘まで歩く。片貝山荘先の河原でツエルトを張る。

 5月4日(曇り) 山菜取りの車がたくさん来る。タクシーの予約は午後3時なので、のんびりたき火したり、永瀬氏は山菜取りに出かけた。【毛勝山から東又谷へ滑降開始。向こうの山は滝倉山】=写真はいずれも永瀬孝夫氏撮影

 
【コースタイム】 (5/2)南又発電所6:30 猫又山14:55〜(5/3)7:35発 釜谷山8:40〜8:55 毛勝山10:00〜10:30 三階棚滝下13:25〜13:30 片貝山荘15:30


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