東北・虎毛山塊・役内川ツブレ沢


1999.7.17〜18 佐々木、吉越

 今年初めての沢登り。いきなり東北の沢ということになり、19年ぶりに虎毛山(1432m)に登った。以前から気になっていたツブレ沢は足馴らしに手頃だった。無理せず虎毛沢下降はやめて、高松岳(1348m)へ11kmにも及ぶブナ原生林の縦走を楽しんで泥湯に下山した。

10m滝 7月17日(曇り) 秋田新幹線経由だったので、奥羽線横堀駅に着いたのは午後となってしまった。早く入山したい気がせくのか、秋ノ宮温泉までのバス車中の30分が長く感じられた。13時25分、R108を歩き出したとたんに夏の太陽がいっとき顔を出し、玉の汗がしたたり落ちる。湯ノ又温泉への車道途中から、ワルイ沢まで続く草に埋もれかかった旧林道に入るが、ぬかるんでいるので途中で身支度を整える。14時50分、ワルイ沢出合先の堰堤を右岸から越えて遡行開始。

 3m滝に続く10m滝は水量が多くとまどう。ザックの中身は防水パックしておらず、釜にドボンしたときのために空身で登ってザイルで引き上げることにする。流水右の取り付きでかなり濡れるが、あとは快適(写真上)。左岸からのきれいな20m滝を見てから、少しゴルジュっぽくなったが何もなかった。白っぽい幅広の6m滝は左から越える。この滝の釜の水はなぜか茶色だ。滝上は亀甲模様の岩床で、皆瀬川流域の模様と違っているので面白い。

20m滝 奥に10m滝が見える三滝沢は水量比1:1で出合う。16時10分。小滝とナメがしばらく続くが、やはり1996年の地震のせいか荒れた感じがする。40分ほどでツブレ沢最大の20m滝(写真下)に着く。左岸のルンゼから落ち口へ向けて草付をトラバースしかけたが、不安定なのでもう5m登って灌木頼りに高巻く。下からは見えない3m滝が連続しており、その上に降り立つ。もう17時を過ぎたので幕場を探しながら進む。なかなか良いところがなく、結局、4mのトイ状滝を過ぎた左岸段丘にツエルトを張る。17時45分。

 7月18日(雨) 昨夜は暑かったのと、羽アリが顔をはいずり回るので眠れなかった。未明の雨は一時止んだが、降り出すのは時間の問題。6時30分出発。ナメ滝をいくつか越え、5m滝を右岸から巻くと滑り台のような岩床が続く。詰めは、やや左寄りに20分のヤブこぎでP1177m北側の縦走路に出た。8時10分。虎毛沢下降〜赤湯又沢は雨の気配に嫌気がさしたので高松岳縦走に切り替え、ザックデポしてから虎毛山をピストンへ。赤倉登山道が合流するあたりから雨が降り出してきた。

 9時40分、19年ぶりに虎毛山着。新しい避難小屋はいいとしても、頂上湿原へ向け木道ができているのは興ざめだった。登る人が多くなったことは、途中のウンコ道の状態でわかったが…。2時間15分かけて虎毛往復後、さらに10kmの縦走となると気が重いものの、トレーニング不足解消にトコトン歩くのも良しとしよう。

 縦走路は19年前と変わらず、ほとんど荒れていなかった。それほど急な登下降もなく、展望があまり得られないぶんブナの原生林を味わうことができる。ただ地震のせいか1072m峰と942m峰の中間で、西側斜面が登山道ごと大崩壊している危険個所があった。岩盤がむき出しになっており、崩壊はさらに進むようで気になる。

 高松岳への最後の急登にあえぎ、ヨレヨレで避難小屋に15時25分着。期待した取置き水はなく、さらに泥湯へ向けて下山することにする。小安岳の下りで水を補給し、幕場を探しながらも適地がなく結局、泥湯の登山口まで下ってしまった。17時50分着。翌19日は、なかなか趣のある泥湯温泉奥山旅館の露天風呂にのんびりと浸り(入浴料500円)、バスで湯沢に出て秋田新幹線経由で夕方帰京。

 【コースタイム】 (7/17)秋ノ宮13:25 ワルイ沢出合14:53 三滝沢出合16:10 20m滝下16:53〜17:10 B.P17:45〜(7/18)6:30発 稜線(ザックデポ)8:10〜30 虎毛山9:40〜55 ザックデポ地10:47〜11:05 高松岳避難小屋15:25〜40 石神山分岐16:10〜20 小安岳分岐16:30 泥湯登山口17:50

 【1/25000地形図】 秋ノ宮、鬼首峠、桂沢


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