奥多摩・日原川日陰名栗沢


1994.11.20 佐々木(単独)

 11月20日(小雨一時あられ) 奥多摩の落ち穂拾いシリーズ。沢シーズンの締めくくりには日陰名栗沢へと、ここ何年か考えていた。昨年も11月中旬に山口さんと計画したが、出発の2日前に「行くんですか?」と聞かれたのに対して、寒気が入ってきたこともあって「行かないよ」と冷たく断って悪いことをした。今回は、鈴木君を誘って2日前に電話したら「行きません」とあっさり断られた。

 日原川もこのあたりまで奥だと、ツルベ落としの晩秋には日帰りもきつくなりそう。未明の4時30分に頑張って起きて、奥多摩駅には7時20分着。小雨が降っていて、山はガスの中。どこか尾根にでも変更しようかと考えたが、東日原行きのバスが出るのでとりあえず乗ってしまう。予報は曇りのち晴れだから、いずれ回復するだろうとタカをくくる。林道を急ぐこと1時間10分で下降点に着いた。ガマガエルにはきかえていたら、降りも本格的になる様子。渋々、沢に下りる。

 小滝とナメが多い穏やかな沢なので気は楽だが、そぼ降る中のさみしい沢登りだ。木々の葉はすでに落ち、足場を隠して歩きづらい。ヌルヌルのナメを覆っていて、油断するとコケる。いっとき青空が出かかったが、それっきりだった。とくに核心部というところもなく、どんどん高度を上げる。この沢はほとんど自然林なのがうれしい。この季節、見通しはいいが、葉が繁っていると薄暗い沢なのかもしれない。喧噪の奥多摩にあって、初心者向きながら人臭くない沢としては貴重な存在である。

 気になるのは詰めのヤブだった。この沢の記録では、奥の二俣から日陰名栗峰に上がるのだが、2時間のヤブこぎを強いられたとある。本流は高丸山へ向かう右沢だが、沢床の低い左沢に入ってしまうようだ。本流に入ると、50センチほどの長さのシカの角を2本拾う。骨は、埋まったか流されたのか、見あたらなかった。地図で読んだ通り、5分とヤブを漕がずに石尾根に出た。まだ12時を過ぎたばかりで、楽勝だった。昼メシを食っていると、にわかにアラレが降り出す。雨まじりの激しい降りで雷まで鳴り出す。鷹巣避難小屋を経て、峰谷に下る。最高気温23度という、昨日のバカ陽気がうらめしかった。

 【コースタイム】 (11/20)東日原7:55 日陰名栗沢出合9:20 奥の二俣11:20 石尾根12:05〜25 鷹巣避難小屋12:50 峰谷14:05

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