奥多摩・峰谷川雨降川長久保沢


1990.10.10 佐々木、岡庭、橋本、吉岡、宮田、笠井

 雨降川のことは、森下道夫遺稿集『見果てぬ山』の記録を読んで初めて知った。榧ノ木山(1485m)に突き上げる沢といっても、峰谷川流域自体はなじみがなく奥多摩のどのあたりかも分からなかった。雨乞いをしたという滝上のテラス、30m大滝の存在など気になる沢の一つだった。

 10月10日(晴れ) 峰谷のバス停から歩いてわずか15分で雲風呂に着く。9時22分。地震観測所脇の貧相な流れが雨降川だ。こりゃドブ沢じゃないのかとの疑念がわき起こる。間伐した際の枝がじゃまして歩きづらい。ゴルジュとなって右に曲がるところに最初の滝二条4mがかかる。宮田さんはシャワーを浴び中央を、岡庭さんはさっさと左から小さく巻き、残りは左から斜上する。少し悪い。堰堤を越すと12mの立派な滝が現れた。手前の5m滝との間が岩のテラスになっており、これが例の雨乞いをしたところかなどと思う。左のガレを落石に注意して登ると山道があり、それを利用して高巻く。

 タナ沢が左岸から入ったあと俄然、沢に躍動感が出てきた。二段7m、S字8m、3mと、まとまった滝場で楽しい。巨岩、ナメ床と続くと傾斜を増した向こうに大滝を望む。両岸岩壁に囲まれた30mの大滝は立派で、幽玄な雰囲気が漂い深山にいるような感じになる。水量の少ないのが残念だが、奥多摩の名瀑の一つに数えてもよさそうだ。左の小沢から楽に巻けるように思いがちだが、実際は岩まじりの急斜面の処理に手こずるというので(山渓記録速報1990.3月号)、少し戻り左岸の樹林帯から高巻く。小尾根まで上がり急なザレを下って落ち口へドンピシャリ立つ。大高巻きとなったが、右岸よりはずっと安全だろう。すぐ上の10m滝も右から小さく巻く。

 水量比1:1の二俣(大平沢出合)は左に入る。堰堤を越し連瀑(3m、二段10m、4m、三段8m、5m、2m)を快適に登る。ワサビ田跡を過ぎるといったん伏流となる。正面がどんづまりのようになったので、左岸の涸滝30m数段を慎重に登る。疎林の中をヤブこぎもなく榧ノ木山直下の登山道へ出た。13時45分。宮田さんだけが頂上を踏んできた。熱海への下山は歩きやすい尾根で、キノコ観察などで道草を食う。倉戸山(1169m)は御前山の展望が良く好ましいピークだ。

 【コースタイム】 (10/10)峰谷9:05 雲風呂(地震観測所)9:22〜55 タナ沢出合11:20 大平沢出合手前12:10〜45 稜線13:45〜50 倉戸山15:30〜45 熱海16:15

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