丹沢・中川川悪沢


1988.11.6 大矢、金子、町田、佐々木

 11月6日(晴れ) 悪沢は14年前に初めてワラジをはいた思いでのある沢だ。前夜は、出合下の河原にテント泊まり。満点の星が約束したとおりの晴天で夜が明ける。7時7分、テントを残して沢に入るとすぐに10m滝が現れた。かわいそうに(?)左岸の崩壊で倒木が覆い被さっていた。ヌメってあまり快適でない右側を登る。

F4・25m 今年の長雨のせいだろうか。ザレた個所や倒木が目立つようにな気がする。まもなく悪沢最悪のF2・20m。初めて来たときは高巻いたが、今回は直登する。まず右側3m上のテラスに全員はい上がる。さらに金子氏リードで落ち口へ斜上していく。ザイルは順調に伸びた。ぼくがカラビナを掛け替えるとき、外頃したスタンスにつるり。とっさにシュリンゲをつかんでしまった。全員登り終えるのにちょうど1時間経過していた。続く7m滝もザイルをつけ左から越す。

 ホッとするのはまだまだだ。次のF4・25m(写真)には「冷水シャワーサービス」を受けてしまうのである。季節柄ありがたくないので、雨具を着る。ためらわず金子氏が取り付く。生やさしい行水ではなさそう。下部は大まかだが、ガッチリしたホールドだ。ザバザバと頭から肩、腕にかけて水圧を感じる。そそくさと高みに上がるのみ。途中のテラスで一息できる。上部はもろく傾斜も強い。高度感もある。確保されている強みで水流から離れて落ち口へ達した。

 ナメ滝群を楽しく通過するころ、やっと陽光がさし込んできた。二俣の二段7m滝は上段がかぶり手強そう。ぼくの記憶にこの滝はない。たぶん巻いたのだろう。左から金子氏がしぶとく攻める。大矢氏は右の草付から落ち口へ抜け、ぼくも続く。固定して下ろしたシュリンゲをつかんで金子氏、町田さんは登り切った。

 枝沢と本流を見極めるながら進む。我々を警戒したのか鹿の鳴き声を聞く。フィナーレは大滝30m。水量も減っており迫力はない。悪い下部5mだけザイルを使用。上部は快適に登れた。いくつか5〜8mの滝を越すと源頭も近い。右の枝沢に入れば早く尾根に出られるが、本流とおぼしきを忠実にたどる。

 詰めはもろく急な岩溝となり、いよいよヤブ突入となったとたん尾根に出た。13時20分。“不遇な山”屏風岩山(1052m)から大滝峠を経て出合のベースに戻った。暮色迫る中を大急ぎでテントを撤収し、箒沢発新松田行きのバスをつかまえた。

 【コースタイム】 (11/6)悪沢出合7:07 F2・20m7:21 F3・25m8:22 大滝下11:44 稜線13:20〜37 屏風岩山14:25〜30 大滝峠15:10 大滝橋16:30 悪沢出合16:50


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