谷川岳・湯檜曽川幽ノ沢左俣滝沢


1980.9.28 永瀬、山野辺、佐々木

 9月28日(曇り時々雨) 登山指導センターを5時に出発。幽ノ沢出合で腹ごしらえしてワラジをつけ、6時45分に遡行開始。樹木の被さった出合だがゴーロからナメとなり、釜を従えたナメ滝に出合う。右岸はスラブ帯をなっており、よくクライマーも渋滞するところだという。スラブから巻こうとしたが嫌らしく、水際を微妙にへつる。右折するとゴルジュの中に小滝を連ねる。二俣下の大滝20mは、左壁が階段状で見た目よりは簡単に登れる。すぐ二俣となり、左俣に入る。

 水量が少ない右俣が出合うと、左俣はノッペリした10m滝である。ナメのあとは5m前後の滝が次々と現れ、その数は24を数えた。滝又滝の連続である。小さいながらも釜をもち青い水をたたえている。ワラジの威力をしみじみ感じるところだ。落差200mの左俣大滝はもうすぐそこである。周囲の岩壁も見上げるほどに近づく。天気がいいとさぞかし気持ち良いことだろう。隣の一ノ倉沢のような陰惨なイメージはここでは微塵もない。それでもガスが漂い始めるとやはり谷川岳の岩を意識してしまう。涸れ沢となって出合う中央ルンゼ付近で8m滝を右岸から高巻く。なおもトヨ状の沢筋を詰める。

 大滝下のカールボーデンで登攀準備。水流左のスラブを黒い岩壁帯の下まで登りアンザイレンする。8時45分、左ルートに山野辺トップで取り付く。1P目30m、残置ハーケンのあるクラックを登ってスラブを直上。2P目40m、大まかなスラブをハング帯下まで直上。3P目20m、ハングを左から巻きテラスに出る。4P目20m、5mほどフェースを直上し、リッジを右へ回り込む。細かいフェースを登り、草付帯直下を右へトラバースして凹角テラスに出る。核心の5P目30m、凹角を5、6m直上し、左の小リッジ上に出て細かいフェースを登る。凹角が濡れていて登山靴では嫌なところだろう。6P目40m、傾斜の落ちたフェースを落ち口へトラバースして終了。11時25分。

 落ち口は晴れていれば絶好の見晴台だろう。お茶を沸かし、ゆっくり昼食をとる。このあとは8m、トヨ状小滝、一条8m、CS6mと越えると、左から20mナメ滝を懸けた水量の乏しいルンゼが合流。目指す奥壁ルンゼにしては水量が少ないということで先へ進む。チムニー状10m滝を巻き、CS4m滝、一条10m滝、30mナメを越すとゴルジュが終わり、二俣になる。左へ入りゴーロを過ぎると緩いスラブとなり、8mほどのナメ滝を越すと岩壁の間に沢は消えてしまう。やっぱりさっきのルンゼが奥壁ルンゼだったことを知る。

 右へトラバースして小川のような沢を詰め、右手の草付を登って堅炭尾根に出た。13時。中芝新道を下って芝倉沢出合へ下り、一ノ倉沢出合を過ぎたところで車に便乗させてもらった。

 【コースタイム】 (9/28) 登山指導センター5:00 幽ノ沢出合6:00〜45 左俣大滝下8:30〜45 大滝上11:25〜50 堅炭尾根13:00〜10 芝倉沢出合14:35〜50 旧道15:15 一ノ倉沢出合16:05 (この間、車に便乗)登山指導センター16:15 土合16:30

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