巻機山・五十沢川上ノ滝沢


1980.9.14 杉崎、山野辺、佐々木、香西

 9月14日(晴れ) 六日町駅からタクシーで永松発電所まで入る。五十沢川本流を渡り送水管に沿っていきなり300mもの急登だ。トップの香西君が飛ばすので、最後尾の杉崎氏が遅れがち。快晴で暑く、汗がしたたり落ちる。7時34分、目の前に青い水をたたえた調整池が現れて驚く。待っていると杉崎氏がプリプリして追いつく。「香西君はいつもトップをやると速く、後ろを考えない。皆もみなだ!」と叱られてしまう。

 ほぼ水平の道で五十沢渓谷を左眼下に進む。割石沢を過ぎると渓谷はますます深く険しさを増す。下り気味となるとすごいゴルジュが見えてきた。右岸上部には立派なスラブの岩壁がそそり立っている。「すごい、すごい」を連発しながら本流取水口(二合目)に降りる。この先の本流はすばらしい廊下となり、右岸も大ハングのある急なスラブが広がっている。対岸(右岸)に渡ると一転して鎖、針金つきの急登となるが、所々緊張するところも。左岸の大窪沢や下ノ滝沢がよく観察できる。あきあきするほど登ってからトラバースし、急降下すると下り舟(四合目)だ。10時27分。

 本流に入って最初の大釜の小滝は左から巻き気味に越える。花崗岩が美しい沢だ。廊下状だがまだまだ序の口で楽に進める。右折するところに深い淵があり、右から慎重に越える。いよいよ両岸が狭まりゴルジュとなる。無理せずに左岸を高巻いていくと、これがちょっと緊張させられた。ここを抜けるとすぐ上ノ滝沢出合である。12時34分着。

 大石を積み上げたような上ノ滝沢に入ると薄暗い廊下に小滝4mがかかる。左からへつって越えると次の4m滝は少しやっかいで、山野辺君が左から登ろうとしたが上部でつまり、左リッジ状を登ってザイルを下ろしてやる。そのまま高巻いて懸垂下降5mで沢に降りる。続いて現れた4m滝を左から登ると明るい二俣で、本流は左俣の7m滝だ。右から3mほど登りクラックに体をねじ込んで登るのだが、香西君が取り付きで滑って膝を痛める。

 傾斜が強まると核心部となる。12、6、4、12mと続く連瀑は直登は無理だが、右岸の灌木帯から楽に巻いていくことができる。小滝を越すと12m滝が現れて右岸を高巻く。次々と小滝を越えていくと釜を持つ小滝が越えられず右から小さく巻く。次の2mCS滝も無理で先に30mのスラブ滝が見えるので、右の小尾根を越すように一緒に巻いてしまう。両岸は草付で明るくなり、3段20mスダレ状滝は左草付から灌木帯に逃げ、その上の小滝とともに巻く。沢は狭くなり二俣となる。左沢に入りゴーロ状を過ぎた10m滝の手前でビバークとする。16時20分。

 9月15日(晴れ) 7時15分に出発。目前の10m滝を右から快適に登ると釜をもつ小滝が連続する。4段30mのスラブ状滝は下段10mは右から快適に、上段はナメ状で悪く右から巻き気味に越える。小滝、ナメはさらに続き、前方に牛ケ岳のドームが望まれ、右手にのびやかな草付が広がっている。この辺で上の滝沢を離れ、中の滝沢に逃げようということになり、草付をはい上がる。

 ササと灌木のヤブの中を小沢2本を横切って中の滝沢に入った。源頭だというのに中ノ滝沢はスラブ滝を連続させている。30分ほど中ノ滝沢を遡ると黒い12m滝にはばまれ高巻きもいやらしそうなので、右のヤブに突っ込むとあっけなく五十沢登山道に飛び出した。12時30分。風が心地よく眺めも抜群。ササの緑と色づき始めた草原の取り合わせが何ともいえない。一汗かいて牛ケ岳に13時20分着。巻機小屋前で余った焼き肉などを食って時間をつぶしてしまい、六日町行きのバスに遅れてしまった。

 【コースタイム】 (9/14)永松発電所6:55 調整池7:34〜56 割石沢出合8:10〜35 取水口9:20〜35 下り舟10:27〜11:00 上ノ滝沢出合12:34〜13:00 10m滝下16:20〜(9/15)7:15発 3m階段状滝9:20〜35 2本目の小沢10:54〜11:10 登山道12:30〜50 巻機山13:20〜42 巻機小屋14:22〜15:00 清水17:20


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