八ヶ岳・川俣川東沢赤岳沢〜地獄谷本谷下降


1980.11.23〜24 永瀬、山野辺、吉越、佐々木、高井
 11月23日(晴れ) 正月山行に備えての氷瀑訓練のつもりだったが、美しの森を過ぎた林道から雪のない権現岳を見て皆ガックリする。それにこの暖かさは、11月上旬の連休のときの降雪と寒さが信じられないくらいだ。この1週間雨が続いたためか全部融けてしまったのだろうか。これでは重い冬山道具が泣く。

 赤ペンキ印に導かれて川俣川河原を進み、赤岳沢出合に9時45分着。下流の単調な河原や倒木は噂通りで、いい加減あきあきしたところに4段の滝がドーンと登場(見た目には四段もなかったように思う)。先行パーティーが上段左側をザイルをつけて登っていた。下段の5m、7mと左から越え、上段は左手前の草付を斜上して落ち口へ出る。氷が草付につき、滑りやすく少し悪かった。

 沢らしくなった赤岳沢はルンゼ状となり、両岸も草付となる。チョックストンをもつ元締の滝7mを左岸からトラバース。氷が張り付いた右岸のルンゼで、先行の3人パーティーはアイゼンをつけて氷瀑訓練をするらしい。本流はうねうねとナメ滝が連続しており、凍っていたらさぞかし快適だろうにと皆で言い合う。細かいが快適に高度を上げ、8mナメ滝は左から越える。チョックストンのある大涸れ滝を右に見送ると沢幅いっぱいに落ちる7m滝となる。直登は見た目は無理だが、高井君は左から取り付き上部で苦労しながらも登り切ってしまった。よくやるなと感心していると永瀬氏も挑戦。残りはさっさと左岸からトラバースして巻く。

 次々と滝が待ち受け応対に忙しい。8m、15mと左岸から越えるが、途中5mほどの滝は、右岸からボルトについていたシュリンゲを利用し、振り子トラバースの要領で落ち口に抜ける。気の抜けない滝がまだ続く。12m2段CS滝では永瀬氏と吉越氏は左リッジを登ってきたが、他の者は大岩の間に体をねじこんで登る。ここには厚い氷が張り付いておりうまく利用できた。続くコケのついた滝は、左岸から細かくもろいホールドを使って越える。山野辺氏は右岸に張り付いた氷をカッティングしながら登ってきた。上には続いてねじれたナメ滝があり、瀑心沿いにヒヤヒヤしながら登り切る。チョックストンの小滝は右から水に濡れながら登る。次の8m滝は左岸から登ってトラバースし、上部は細かいスタンスに乗ってハーケンにかけたシュリンゲをつかんで強引に登る。

 チョックストンのある小滝で水が消え、ガラガラした源頭を急登していくと、正面はコップ状の奥壁に消えてしまう。何本かのルンゼが延びているが不明瞭で、山野辺氏と永瀬氏は正面からやや左へ、残りはやや右へとルートをとる。お互いに「赤岳で会おうや」などと言って登り出すが、これがなかなかスンナリ登らせてくれない。中間部はもろいザレで、先に登った高井君に今日初めてザイルを下ろしてもらう。そのまま3ピッチ安全圏まで登る。灌木帯との境からカモシカがこちらをじっと見つめていた。ふらふらしながら稜線に出たとたん日が暮れ、天狗尾根分岐で合流後、ライトをつけながら下ってキレット小屋へ着いた。18時10分。月明かりがものすごい夜となった。

 11月24日(快晴) 6時25分、キレット小屋の水場から地獄谷本谷を下降。やや氷結しているのですぐアイゼンをつけて下る。出歯アイゼンとピッケルのコンビネーションも初めぎこちなかったが、だんだんと慣れてくる。上部ナメも楽に右岸草付を巻く。上部の瀑流帯を何とか沢通しに下り、右岸からやや水量の多い沢を入れると倒木のある滝となる。右岸から下る。3段の滝は沢通しの下降が困難となり、右岸40mほど上を高巻く。左岸から巻いた高井、山野辺君の方が先に沢に下りた。高巻きの途中、アイゼンをズボンに引っかけてあやうく転倒しそうになりヒヤッとさせられた。その後は悪場もなくなり、スムーズに赤岳沢出合に着いた。9時37分。

 【コースタイム】 (11/23)清里6:55 真教寺尾根入り口8:00〜10 川俣川河原8:45〜9:00 赤岳沢出合9:45〜10:30 ナメ連続の手前12:35〜55 源頭14:55〜15:05 稜線17:00〜10 キレット18:10〜(11:24)6:25発 三段の滝高巻き終了点8:35〜9:00 赤岳沢出合9:37〜10:30 林道終点11:05〜20 清里13:00


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