上越・仙ノ倉谷西ゼン


1977.10.10 佐々木(単独)

 西ゼンでは単独の早大生が事故死したばかりで、何かと気が重かった。第一スラブを前に眺めていたら躊躇していたと思われたらしく、「一緒にザイル組んだほうがいいよ」と他パーティーに言われてしまった。登ってみればこんなものかと思うのだが、先週の赤谷川に続いて単独行をしてみると、未組織登山者の限界を感じるのだった。

 10月10日(曇りのち一時小雨) 土樽に着いたときは小雨でガッカリさせられたが、早朝5時すぎには止んだので出発する。昨夜はかなり降ったらしいことが、林道にたまった水たまりでわかる。毛渡沢出合まで淡々とした林道歩き。出合には4、5パーティーがテントを張っていた。仙ノ倉谷沿いの道はぬかるんで滑りやすい。ケルンのあるところで一本立て、ワラジをつけて遡行開始。西ゼンに向かうのは3人ずつの2パーティーだ。東ゼン出合手前のスラブを右からからむと、初めて西ゼンのスラブが目に入る。東ゼンを仰げば大滝の一部が見えた。どちらも結構迫力があり、単独ゆえに気を引き締める。

 最初のスラブ60mは右から灌木とのコンタクトラインを登り、水流を左に見ながら登り切る。上部に第一スラブらしいのが見える。小滝を右から巻くと20mほどの滝で、その上が広大なスラブ。先行する東京岳陵会パーティーの3人は、右から滝を越えてアンザイレンしてスラブを登り始めた。ぼくは左の草付からスラブに上がって水流左に出て、スリップに注意しながら水流通しに登り切る。右岸上部の草付を高巻くルートに取り付いていた3人パーティーは、山靴をはいているためかだいぶ苦戦していた。

 落ち口からスラブを見下ろすと、周囲の紅葉とあいまってとても美しい。小滝の上に15m滝を右から巻くと20m滝となって、その上が第一スラブより長い第二スラブだ。右から登ってスラブに出る。結構急だが、凹凸があってどこでも登れる感じ。それでも落ち口手前は、15mほど急になっている。単独行の人が左から苦労して登っていたが、無理をせず右側草付を登って落ち口にトラバースした方が楽だ。

 スラブの上の15m滝を左から巻いたところで休む。あとは何の変哲のない小沢となり、二俣で右俣に入るとヤブが覆いかぶさる。踏み跡を登ると30分ほどで平標新道の池塘のある手前に出た。ガスで視界2、30mなので、平標山ピークには行かずに下山した。

 【コースタイム】 土樽5:25 群大山荘6:25〜40 ケルン7:20〜40 西ゼン出合8:20〜45 第一スラブ下9:05〜15 第一スラブ上9:55〜10:05 第二スラブ上11:15〜30 平標新道12:15〜20 ケルン13:40〜14:15 土樽15:55


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