上越・巻機山・登川米子沢


1979.10.14 佐々木(単独)

 紅葉の米子沢はすばらしいとのことで、前週の土曜日にも出かけたが、六日町は無情の霧雨だった。ちょっとした冬型気圧配置でかなり寒く、8時過ぎまで様子見したが回復の兆しがなく、やむなく帰京した。今回は帯状高気圧におおわれ絶好の沢日和となりそうで、いろいろ用事があったが飛び出した。

 10月14日(快晴) 前夜の上野発長岡行列車で六日町駅に下りると霧がかかってかなり寒い。バス停にはかなりの登山者の列ができ、沢登りの連中もかなりいる。清水からヘッドランプをつけすぐ出発。林道近道を抜けた辺りから夜が明けかかってきた。米子橋に着いた頃には行動にさしつかえないほど明るくなる。かなりの車が駐車している。沢へ行く連中が登攀具などを点検したり朝飯をとっている。

 5時25分発。米子沢はすぐ伏流となり最初の30m滝に近づくとまた水流が現れた。もう空は真っ青でワクワク、単独の不安もどこかへ吹っ飛んだ。朝飯を食ってから、数段に落ちる30m滝を左から越える。快適な岩床とナメ滝が続く。ナメ沢が左から合わせると、すぐ最初のゴルジュとなる。6m滝を左の草付から巻いて行くと踏み跡があり、そのまま辿ると3段40m滝が勢いよく水を落としている。そのままこの滝も巻いてしまう。その後次々と現れる滝は快適にパス。12mの スダレ状の滝手前で一本立てていると2人パーティーが追い抜いていった。やがて左側に柱状節理のような岩が出てくると、その先両岸が高くなり核心部のゴルジュらしい。

米子沢源頭付近 ゴルジュ入り口の6m滝を右から灌木をつたって踏み跡を登っていくと、次第に高く巻いていき、いったんは大ナメ滝が望見される草付にでるが、すぐ折り返して尾根を直登するようになる。そして小尾根に出たな思っても、その踏み跡はどんどん上へ上へと登っていくことに不審に感じる。前を行く2人パーティーも変に思ったらしく相談してちょっと戻り、岩のあるところの不明瞭ながらも新しい踏み分けをトラバースしていくと、ようやく20m滝の上に出られる小沢に出られた。かなり急だが木にぶらさがって下る。草付まで下りトラバースすると大ナメ滝の下(20m滝の上)に下りられた。後ろの2人はかなり手こずって最後までヤブを漕いできた。ゴルジュを見るとかなり深そうで、単独だから高巻きもしょうがないが、ルートファインディングには気をつかうところだ。

 左のヤブから取り付き大ナメの上に出ると、あとは快適の一語に尽きる登りが数百mは続く。暑いくらいだが水はとても冷たく、高巻きで乾いたノドを潤してくれる。両側が開けて草付と草原に変わる。快晴だが、谷川岳方面のガスだけはなかなかとれない。

 奥二俣はサイト可能。ここまで来ると米子沢も小川と化し、時間的に早く稜線に出られる左俣に入る。あれっ、と思う間に巻機小屋前の草原に飛び出してしまった。ボリュームのある巻機山に改めて感心し、キツネ色の草原は何とも言えない安らぎを感じる。女性登山者が多かったが、それも何となく分かる気がする。ただ、登山道はどんどん削り取られていくのが残念。下りは休みもとらず、清水に駆け下った。まだ11時30分だが、六日町行きバスは13時25分までなく、ヒマをもてあましてしまった。

 【コースタイム】 清水4:50 米子橋5:20〜25 30m滝下6:10〜25 栂ノ沢出合7:00 12m滝下7:25〜30 大ナメ滝下8:25〜30 二俣8:55〜30 奥の二俣9:20 巻機小屋9:35〜45 清水11:30


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